【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜余韻〜

夜食

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「…水無月さん、眠くない?とりあえず少しだけ頼んだけど、良かったらこっちにおいで?」

「はい…」

窓際にあるテーブルに銀のトレイを置いて、杉崎さんが私を呼ぶ。

時々杉崎さんが口にする、おいで…という言葉。

なんだか、好きだな…
慈しみを帯びた、愛情深い言葉のように感じるのは私だけだろうか…。
まるで、親が、愛する子供を呼ぶように…

「失礼します。」
私は窓際の椅子に、ゆっくりと腰掛ける。

「ハーブティーと…チョコレートとフルーツ盛り合わせみたいなの、頼んだんだけど、もし食べられるなら食べて、無理なら冷蔵庫に入れておいて、明日の朝、食べようか」

明日の朝…

朝…というキーワード…

まさか、杉崎さんと朝を…迎えることになるなんて、今朝の時点では、想像すらしていなかった。

確かにクルーズディナーはとても楽しみにしていた。
服装だって、いつもより気合が入っていたのは否めない…

職場では絶対に着用しないような…
それこそ人事の細野さんが毎日職場に着てくるような、女性らしい服装…。

揺らめくスカート。
全体的に明るい色使いの洋服…

少し恥ずかしさはあったものの、非日常のクルーズディナーだ…
こんな時くらいはいいかと思い切って…
杉崎さんもお世辞かもしれないが可愛いと褒めてくれて…嬉しくなった。

でもまさか…

杉崎さんと一緒に、

朝を迎えることになるなんて…

しかも今思えば…とんでもないことだ…
シャワーすら…浴びずに、自分の欲望のままに…杉崎さんに抱かれた私… 

今更ながらに羞恥心が溢れてくる…

もう、全てのことが…
本当に、信じられない…

しかも、こんな風に拓海を裏切って… 

私は…
 
      私はこの先…


「水無月さん…、大丈夫…?…疲れているなら、やっぱり無理しないで休むかい?全然いいよ、俺は少し食べてから横になるから…」

ハッとする。
また、一人の世界に入っていた…

杉崎さんの優しい目が、私を包み込む。
私はこの人に… 

ああ…駄目だ

考えが、まとまらない…

「いえ、すみません…いただきます。」

私は杉崎さんに微笑みを返して、
注いでくれたハーブティーを、口に運んだ。















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