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〜余韻〜

緊張

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「はい、それでいいです、お願いします。」

ルームサービスの注文を終え、ゆっくりと受話器を置く杉崎さん。

          シ  ン… 

また、室内に静けさが戻り…なぜだか不思議と、沈黙が怖くなる自分がいた。

「あ…の、えっと、杉崎さん…」
慌てて口を開く私…。

「ん… なに…?水無月さん」
「… えっと、今日は…あの…色々、…ありがとうございました…」
「なに…急に、水無月さん… どうしたの…?」
杉崎さんの綺麗な瞳が私をとらえる…
その真っすぐで、それでいて何気ない視線に、ドキリとする…。

「あ…えっと、船内での食事なんて、私、初めて…だったので、とても…あの、楽しかったなって…あの、お料理も美味しかったですし…眺めも良くて…」

まるで、慌てて話しているような早口になる…
なぜだか極度に、緊張してしまっているのが自分でもわかる…
今更、杉崎さんを前にして、何を急いで今日の感想など…話しているのだろう…

鎮まれ、私の心臓… 

「うん…そうだね…本当に楽しかった…俺も…すごくね…でも…なんだか今は…」
杉崎さんがもう一度、私の顔を覗き込むように見る…。

ドキンと、心臓が跳ねる…。

「なんだか、もう…今は、胸がいっぱいっていうか、どうも精神的にヤバくて…ごめん何話していいか、よくわからない…さっきの君があまりに…綺麗で…可愛い過ぎて…もう…今だってまた、君を…」

杉崎さんの手が、私の頬にそっと触れる…

「 … え … …? 」今…なんて言われた … のか…  
杉崎さんも、もしかして私と…同じ…ように、緊張してる…  ?
回らない頭で必死に、杉崎さんの言葉を思い返そうとする…

「もう一度、キスしたい…いいかな…?君を前にすると…俺 なんか、変だ…
抑え、きかないな…ごめん、本当にもう、キスだけだから…」

杉崎さんの視線が、私の首筋と胸元に一瞬走り、…その後、唇に移ったのがわかった…。

「… はい… して、ください…」

「 …っ… 水無月さん… 」

次の瞬間、杉崎さんに頬を両手で包まれ…見つめられ…そっと、重ねられる柔らかな唇…


         
ああ… もうダメ…絶対に、抗えない…

       私は幸福な気持ちで、 ゆっくりと、眼を閉じた…。














 



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