231 / 538
~二人~
食後に
しおりを挟む
「…美味しかったね…どれもこれも…」
フルコースも終盤…
最後に、美しい飾り付けのデザートとコーヒーが運ばれ…杉崎さんが満足そうに呟いて私を見る。
「はい…本当に…ピアノ演奏も素敵でしたね…」
食事中、ピアニストの女性がずっと演奏を続けていた…。
素敵な生演奏を聴きながら、優雅な船上でのディナー…そして相手は杉崎さん…まるで…夢のような時間だ。
「これ…食べ終わったらデッキに出てみようか…?まだ、到着には30分ほどあるらしいから…外の景色も楽しみたいよね…風もあって気持ち良さそうだ…」
「はい…是非…」 私は答える。
「こんな場所で話すことでもないけど…ごめんね…、水無月さん…君には拓海くんという、れっきとした彼氏がいるのに… こんなことになって…俺は君より年上で…分別があるべき大人だ…なのに…君に…手を出してしまった…」
杉崎さんが、真っ直ぐに私を見つめて、そんな風に語る。
「いえ…そんな…それは…お互い様ですよ…私だって…もう、子供じゃありません。
あなたに…林さんがいるのを…わかってて…自分の気持ちを…理性を、止められなかった…。
ただ、それだけです…だから杉崎さんが悪いだなんて全く思ってないですから、気にしないでください…」
私も彼を見返す…。
しばらくの間、お互いに見つめ合う…
彼の綺麗な瞳に、ドキリと心臓が鳴る。
「あ…もう、珈琲…飲み終わったみたいだね…?じゃあ、出てみようか…デッキに。」
「はい…」
杉崎さんに促され、私は杉崎さんの広い背中を追いかけるようにして、ついて行く。
不意に…その背中に、背後から抱きつきたい…そんな衝動に駆られる…。
もちろん…人目がつく場所で…そんなことをできるはずもない…。
なんとか耐えたものの…私はもう…杉崎さんに…触れたくて仕方がなかった…。
人を好きになると…こんな感情が芽生えるのか…
七年以上前に…初めて付き合い始めた拓海にも、同様の感情を持っただろうか…
もはやそれすらも、わからなくなる…。
デッキに出ると、もう、あたりは真っ暗で船は…黒い海に包まれていた…
それでも波間に、船が揺れるたびに色とりどりの船上の照明が反射して…その一瞬、一瞬で…キラキラと輝いていて、とても幻想的で…私は思わず、言葉を失う…。
しばらく無言で…
デッキに両手をかけて、海を眺めていると、杉崎さんが私の手をそっと覆うように握り、口を開く。
「… …水無月さん… …好きだ… 」
「…私…も…です…」
なんとか、そう答える…。
「俺は…君に、早く触れたい… あの日から…水無月さんの…白い肌に触れたあの日から…俺は…」
私は杉崎さんの言葉に、息を呑む…
「俺は今…どうしようもなく、君が…欲しい…
…抱きたい…」
杉崎さんの濡れた瞳…
欲情した、男の眼光…
私の身体の深い部分が…ぞくりとした。
私は…
私は…
同じ気持ちだ…杉崎さんに抱かれたい…
拓海とか…林さんとか…まだ、何も…
…なのに…
頭で考えるより先に…
私は無言でコクリと、頷いていた…
フルコースも終盤…
最後に、美しい飾り付けのデザートとコーヒーが運ばれ…杉崎さんが満足そうに呟いて私を見る。
「はい…本当に…ピアノ演奏も素敵でしたね…」
食事中、ピアニストの女性がずっと演奏を続けていた…。
素敵な生演奏を聴きながら、優雅な船上でのディナー…そして相手は杉崎さん…まるで…夢のような時間だ。
「これ…食べ終わったらデッキに出てみようか…?まだ、到着には30分ほどあるらしいから…外の景色も楽しみたいよね…風もあって気持ち良さそうだ…」
「はい…是非…」 私は答える。
「こんな場所で話すことでもないけど…ごめんね…、水無月さん…君には拓海くんという、れっきとした彼氏がいるのに… こんなことになって…俺は君より年上で…分別があるべき大人だ…なのに…君に…手を出してしまった…」
杉崎さんが、真っ直ぐに私を見つめて、そんな風に語る。
「いえ…そんな…それは…お互い様ですよ…私だって…もう、子供じゃありません。
あなたに…林さんがいるのを…わかってて…自分の気持ちを…理性を、止められなかった…。
ただ、それだけです…だから杉崎さんが悪いだなんて全く思ってないですから、気にしないでください…」
私も彼を見返す…。
しばらくの間、お互いに見つめ合う…
彼の綺麗な瞳に、ドキリと心臓が鳴る。
「あ…もう、珈琲…飲み終わったみたいだね…?じゃあ、出てみようか…デッキに。」
「はい…」
杉崎さんに促され、私は杉崎さんの広い背中を追いかけるようにして、ついて行く。
不意に…その背中に、背後から抱きつきたい…そんな衝動に駆られる…。
もちろん…人目がつく場所で…そんなことをできるはずもない…。
なんとか耐えたものの…私はもう…杉崎さんに…触れたくて仕方がなかった…。
人を好きになると…こんな感情が芽生えるのか…
七年以上前に…初めて付き合い始めた拓海にも、同様の感情を持っただろうか…
もはやそれすらも、わからなくなる…。
デッキに出ると、もう、あたりは真っ暗で船は…黒い海に包まれていた…
それでも波間に、船が揺れるたびに色とりどりの船上の照明が反射して…その一瞬、一瞬で…キラキラと輝いていて、とても幻想的で…私は思わず、言葉を失う…。
しばらく無言で…
デッキに両手をかけて、海を眺めていると、杉崎さんが私の手をそっと覆うように握り、口を開く。
「… …水無月さん… …好きだ… 」
「…私…も…です…」
なんとか、そう答える…。
「俺は…君に、早く触れたい… あの日から…水無月さんの…白い肌に触れたあの日から…俺は…」
私は杉崎さんの言葉に、息を呑む…
「俺は今…どうしようもなく、君が…欲しい…
…抱きたい…」
杉崎さんの濡れた瞳…
欲情した、男の眼光…
私の身体の深い部分が…ぞくりとした。
私は…
私は…
同じ気持ちだ…杉崎さんに抱かれたい…
拓海とか…林さんとか…まだ、何も…
…なのに…
頭で考えるより先に…
私は無言でコクリと、頷いていた…
0
お気に入りに追加
224
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
【R18】こんな産婦人科のお医者さんがいたら♡妄想エロシチュエーション短編作品♡
雪村 里帆
恋愛
ある日、産婦人科に訪れるとそこには顔を見たら赤面してしまう程のイケメン先生がいて…!?何故か看護師もいないし2人きり…エコー検査なのに触診されてしまい…?雪村里帆の妄想エロシチュエーション短編。完全フィクションでお送り致します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる