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〜2人の距離〜
囚われの身
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「…水無月さん…もしかして、…怒った…?」
杉崎さんの正面の席に、よろけるようにして戻って座った私に、杉崎さんが尋ねてくる。
「… …いえ…」すぐには、まともに言葉を発することができない。
動揺していた…。
杉崎さんのこんな場所での濃厚なキスに…
そして、彼の求めに、応じてしまった自分に…。
本来の私であれば、絶対に拒否をするシチュエーションだ…。
拓海がデート中、外で手を繋ごうとしても、すぐに振りほどきたくなるほど、私は人の目が気になるというのに…。
私は一体、本当に…どうかしている… どうしてしまったんだろう…。
自分がふと、怖くなる…。
正面を向くと、杉崎さんの形の良い唇が…すぐに私の視界に飛び込んでくる…。
あの唇が…私の唇を強引に塞ぎ…息もできないくらいに狂おしく…激しく口内を犯した…ああ…
いや…駄目だ…今はもうそれについては考えない…
私は必死に、思考を正常な状態に戻す。
「…怒っては…ないですけど…あの…驚いたというか、…すみません、でもやっぱり…」
杉崎さんは黙って私の話を聞いている…。
「やっぱり、こんな場所で…キ…、あの…あんな…ことするのは、良くないと思います…。」小さな声にはなったが、なんとか、声を絞り出す。
あんな…淫らなキスをされたせいで、それと…一瞬ではあったが胸に触れ…ゆるりと揉みしだかれたせいで…
身体の熱が、体内にこもっている…そんな状態の私…
これは杉崎さんのせいに、他ならない…。
「…はい…そうだね、…ごめん…確かに、大人として良くなかったよね…もう絶対、こんなところで、あんなことはしません…ごめんなさい」
杉崎さんが、驚くほどに素直に、まるで小さな子供の用に、私に頭を下げてくる。
低頭したせいで、杉崎さんの頭のてっぺんの分け目…つむじが少しだけ見える。可愛い…。
そんなことには触れずに、私は口を開く。
「私も拒否をするべきでした…だから、杉崎さんだけが悪いわけじゃないです…大人ですし、お互いに気を付けましょう…では…この話は終わり!…杉崎さん、とにかく、食事を続けましょう…!ほら…まだたくさん、お料理が並んでますし…冷めちゃう…」
「おっと…そうだね、食事食事…お酒お酒…よし、飲み物を追加しよう。」
ピンポン…呼び出しのベルを押す杉崎さん。
また、頬を赤く染めたさっきと同じ、若い女性店員がオーダーを取りに来る。
「えっと…生ビールをもう一杯…それと… 」
二人をぼうっと見つめながら…ため息をつく。
私はもうきっと、確実に…この人に、…とらわれてしまった…
杉崎さんに求められたらきっと、
どんな場所、どんな場面…どんなこと、だったとしても…熱に浮かされたように従ってしまうに違いない…。
でもダメだ。
もう少し、理性的でいなければ…
拓海とも話さなければならないし…今は不安定な状況に変わりはないのだ…。
私は氷が半分ほど溶けてしまったカンパリオレンジを、
勢いよく、喉に流し込んだ。
杉崎さんの正面の席に、よろけるようにして戻って座った私に、杉崎さんが尋ねてくる。
「… …いえ…」すぐには、まともに言葉を発することができない。
動揺していた…。
杉崎さんのこんな場所での濃厚なキスに…
そして、彼の求めに、応じてしまった自分に…。
本来の私であれば、絶対に拒否をするシチュエーションだ…。
拓海がデート中、外で手を繋ごうとしても、すぐに振りほどきたくなるほど、私は人の目が気になるというのに…。
私は一体、本当に…どうかしている… どうしてしまったんだろう…。
自分がふと、怖くなる…。
正面を向くと、杉崎さんの形の良い唇が…すぐに私の視界に飛び込んでくる…。
あの唇が…私の唇を強引に塞ぎ…息もできないくらいに狂おしく…激しく口内を犯した…ああ…
いや…駄目だ…今はもうそれについては考えない…
私は必死に、思考を正常な状態に戻す。
「…怒っては…ないですけど…あの…驚いたというか、…すみません、でもやっぱり…」
杉崎さんは黙って私の話を聞いている…。
「やっぱり、こんな場所で…キ…、あの…あんな…ことするのは、良くないと思います…。」小さな声にはなったが、なんとか、声を絞り出す。
あんな…淫らなキスをされたせいで、それと…一瞬ではあったが胸に触れ…ゆるりと揉みしだかれたせいで…
身体の熱が、体内にこもっている…そんな状態の私…
これは杉崎さんのせいに、他ならない…。
「…はい…そうだね、…ごめん…確かに、大人として良くなかったよね…もう絶対、こんなところで、あんなことはしません…ごめんなさい」
杉崎さんが、驚くほどに素直に、まるで小さな子供の用に、私に頭を下げてくる。
低頭したせいで、杉崎さんの頭のてっぺんの分け目…つむじが少しだけ見える。可愛い…。
そんなことには触れずに、私は口を開く。
「私も拒否をするべきでした…だから、杉崎さんだけが悪いわけじゃないです…大人ですし、お互いに気を付けましょう…では…この話は終わり!…杉崎さん、とにかく、食事を続けましょう…!ほら…まだたくさん、お料理が並んでますし…冷めちゃう…」
「おっと…そうだね、食事食事…お酒お酒…よし、飲み物を追加しよう。」
ピンポン…呼び出しのベルを押す杉崎さん。
また、頬を赤く染めたさっきと同じ、若い女性店員がオーダーを取りに来る。
「えっと…生ビールをもう一杯…それと… 」
二人をぼうっと見つめながら…ため息をつく。
私はもうきっと、確実に…この人に、…とらわれてしまった…
杉崎さんに求められたらきっと、
どんな場所、どんな場面…どんなこと、だったとしても…熱に浮かされたように従ってしまうに違いない…。
でもダメだ。
もう少し、理性的でいなければ…
拓海とも話さなければならないし…今は不安定な状況に変わりはないのだ…。
私は氷が半分ほど溶けてしまったカンパリオレンジを、
勢いよく、喉に流し込んだ。
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