【完結 R18】ほかに相手がいるのに

〜互いの意識〜

吐露

私は一体…何をしたいんだろう…
一体何を、我慢しているんだろう…

私だって…正直に言うと、杉崎さんといると楽しい…居心地が良くて仕方ない…。
今だって、隣に座っている杉崎さんに…ドキドキしている…。
彼の優しい声に…優しい態度に、どうしても和んで…惹かれてしまう…そんな自分がいた。

もしも…私に…拓海がいなければ…
彼氏がいなければ…
私は、どうなっていただろう…。

「…  … 」

無言のままの私を不思議に思ったのか、杉崎さんがさらに口を開く。

「あ…そろそろ、体調…どう…？」杉崎さんが私を見る。

「んー　…　なんかまだ、よくなさそうだね…もう少し、ぼんやり座ってようか…」

そう言って、空を見上げる彼…。
　　　
　　　私もつられて、空を見上げる。

真っ暗な空に、
薄い三日月が滲んだ光を放っていた。



「好き…」

…私は思わず、口にしていた。

「…え…？」
…聞き返す杉崎さん…
その目が…驚いたように揺れている…。

「私は好き…です、杉崎さんのこと…
今、楽しいです…あなたといると居心地が良くて、ドキドキして、一緒にいると楽しくて…離れたくなくて…だめ…なのに…おかしいです、…」

杉崎さんの方を、もう、見ることができない。

「…、私、酔ってしまったかもしれないです…あの…今日だけですから…こういうこと…言うの、今日だけ…だから…忘れ…っ…ん…！っ、んン」

隣にいる杉崎さんに突然…身体ごと引き寄せられ…唇を強引に塞がれる…

「っんっ…、んん…」

驚きで無意識に固く閉じていた唇の隙間から…杉崎さんの熱い舌が…割り込んでくる… 私の口内を…熱い…舌が…うごめく… 何…なに、これ…

「…杉っ…さ…っ　、ん…！」息も絶え絶えに、唇を奪われたままゆっくりと目を開けるとそこには…

私の…キスをされている淫らな表情を…舐めるように…見つめる…男オスがいた。
吸い込まれそうに綺麗な…それでいて、獲物を狙うような…男の妖艶な目つき…

私は目を合わせていられなくなり…
その熱い視線から逃げるように、

　　　　再び、ぎゅっと…目を閉じた…。