【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜互いの意識〜

探り合い

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「それにしても…」杉崎さんが口を開く。

「あの後…水無月さん、大丈夫だった…?」
杉崎さんのいうあの後とは、焼鳥屋での4人での食事の後…のことだろう。

「あの日、ですよね…はい、全然大丈夫でした。私は少し前に拓海には一応、杉崎さんと週末下見に行ったことを伝えていましたし…」

私はフォークを置いて、杉崎さんを見る。

「それより、杉崎さんの方は大丈夫でしたか…?林さんは知らなかったように見えたので、ちょっと心配でした…。
あの後、お二人が喧嘩とか…杉崎さんが林さんに怒られたりしてないか…なんて、考えちゃって…でも、職場でそんなこと、聞けないので…」

これは本当に私が気になっていたことだったので、この状況を利用して聞いてみる。

「いやいや…そんなことはないよ。彼女は大人だし、あれくらいのことで、いちいちとやかくいうタイプの女性ではないからね…こっちは大丈夫…。」杉崎さんが一旦言葉を切る。

「…むしろ、水無月さんの彼氏の方が、俺は心配だったな…。あの後、水無月さん…大丈夫だったかな…ってさ…いや、変な意味じゃなくてね…ごめん、そんなこと言ったら失礼だね…」

…あの四人での飲み会の後は拓海は意外にもすぐ寝てしまい、大丈夫ではあった。

…むしろ、そこに行く前…拓海に聞かれるままに、杉崎さんと一緒に下見に行ったことを告げた直後の方が…拓海は…いつもよりかなり情熱的に激しく、私を抱いた…
もう嫌だと私が言っても…何度も、何度も…普段はしない行為を…私が嫌だと言ってもやめてくれずに……

私の身体の熱が…体温が…思わず、高くなってくる…ような気がする…。

杉崎さんのいる前で…何を思い出してるんだろうと反省する。
ひょっとしたら、顔も赤くなっているかもしれない…。

「あ…もしかしてやっぱり、…何か…あった…?喧嘩でもした…かな…?それだと、すごく申し訳ないな…」
杉崎さんがショックを受けたように項垂れる。

私は慌てて「いえ、全然…なんにも問題はないですよ…喧嘩なんてしていませんし、私たちは付き合いも長いですし全然大丈夫です、安心してください。」 

…あの日はいつもより激しく…抱かれただけです…とは、もちろん言えない…。

それにしてもお互いに、まるで、探り合うかのような時間…
それぞれに恋人がいるから当然なのかもしれないけど…少し、寂しい気持ちがしてくる。

「そっか…なら良かった…でも、本当は俺、…すごく楽しかったんだよね…水無月さんとの下見…水無月さんの彼氏と智花に怒られるから、もちろんあの場ではそんなこと言わないけどね…不謹慎かな…」

そう言って、悪戯っ子のように笑う杉崎さん…。

「…実は、私も…なんです…不謹慎、でしょうか…」私も笑ってみせた。

杉崎さんは続ける。
「本当に…?ありがとう…でも、あの…あんな形で君の…その…見てしまったのは、本当に申し訳なかった…あれだけはすごく、反省してる…ごめんね」

私の体温が、再び一気に上がる。その話をされると…私も謝らざるを得なくなる…。
「そんなこと…私だって、…杉崎さんに…変なこと言っちゃいましたし…見せてとか…だからおあいこですよ…」

「… そう…かな… そう言ってもらえると…少し救われる…」

「あの日はお互い様でしたよ、本当に…だからもう…私も気にしません。」
私はきっぱりと言う。

私と杉崎さんは色々な話をしながら、その後ゆっくりと食事を楽しんだ。
本当に楽しいひと時…このまま、時間が…止まってしまえばいい…もっと一緒にいたい…  

溢れ出そうになる感情をなんとか抑えながら、

私は限りある、残り少ない杉崎さんとの時間を楽しんだ

















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