【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

文字の大きさ
上 下
128 / 538
〜互いの意識〜

探り合い

しおりを挟む
「それにしても…」杉崎さんが口を開く。

「あの後…水無月さん、大丈夫だった…?」
杉崎さんのいうあの後とは、焼鳥屋での4人での食事の後…のことだろう。

「あの日、ですよね…はい、全然大丈夫でした。私は少し前に拓海には一応、杉崎さんと週末下見に行ったことを伝えていましたし…」

私はフォークを置いて、杉崎さんを見る。

「それより、杉崎さんの方は大丈夫でしたか…?林さんは知らなかったように見えたので、ちょっと心配でした…。
あの後、お二人が喧嘩とか…杉崎さんが林さんに怒られたりしてないか…なんて、考えちゃって…でも、職場でそんなこと、聞けないので…」

これは本当に私が気になっていたことだったので、この状況を利用して聞いてみる。

「いやいや…そんなことはないよ。彼女は大人だし、あれくらいのことで、いちいちとやかくいうタイプの女性ではないからね…こっちは大丈夫…。」杉崎さんが一旦言葉を切る。

「…むしろ、水無月さんの彼氏の方が、俺は心配だったな…。あの後、水無月さん…大丈夫だったかな…ってさ…いや、変な意味じゃなくてね…ごめん、そんなこと言ったら失礼だね…」

…あの四人での飲み会の後は拓海は意外にもすぐ寝てしまい、大丈夫ではあった。

…むしろ、そこに行く前…拓海に聞かれるままに、杉崎さんと一緒に下見に行ったことを告げた直後の方が…拓海は…いつもよりかなり情熱的に激しく、私を抱いた…
もう嫌だと私が言っても…何度も、何度も…普段はしない行為を…私が嫌だと言ってもやめてくれずに……

私の身体の熱が…体温が…思わず、高くなってくる…ような気がする…。

杉崎さんのいる前で…何を思い出してるんだろうと反省する。
ひょっとしたら、顔も赤くなっているかもしれない…。

「あ…もしかしてやっぱり、…何か…あった…?喧嘩でもした…かな…?それだと、すごく申し訳ないな…」
杉崎さんがショックを受けたように項垂れる。

私は慌てて「いえ、全然…なんにも問題はないですよ…喧嘩なんてしていませんし、私たちは付き合いも長いですし全然大丈夫です、安心してください。」 

…あの日はいつもより激しく…抱かれただけです…とは、もちろん言えない…。

それにしてもお互いに、まるで、探り合うかのような時間…
それぞれに恋人がいるから当然なのかもしれないけど…少し、寂しい気持ちがしてくる。

「そっか…なら良かった…でも、本当は俺、…すごく楽しかったんだよね…水無月さんとの下見…水無月さんの彼氏と智花に怒られるから、もちろんあの場ではそんなこと言わないけどね…不謹慎かな…」

そう言って、悪戯っ子のように笑う杉崎さん…。

「…実は、私も…なんです…不謹慎、でしょうか…」私も笑ってみせた。

杉崎さんは続ける。
「本当に…?ありがとう…でも、あの…あんな形で君の…その…見てしまったのは、本当に申し訳なかった…あれだけはすごく、反省してる…ごめんね」

私の体温が、再び一気に上がる。その話をされると…私も謝らざるを得なくなる…。
「そんなこと…私だって、…杉崎さんに…変なこと言っちゃいましたし…見せてとか…だからおあいこですよ…」

「… そう…かな… そう言ってもらえると…少し救われる…」

「あの日はお互い様でしたよ、本当に…だからもう…私も気にしません。」
私はきっぱりと言う。

私と杉崎さんは色々な話をしながら、その後ゆっくりと食事を楽しんだ。
本当に楽しいひと時…このまま、時間が…止まってしまえばいい…もっと一緒にいたい…  

溢れ出そうになる感情をなんとか抑えながら、

私は限りある、残り少ない杉崎さんとの時間を楽しんだ

















しおりを挟む
恋愛小説大賞に応募中です。応援ポチいただけるとモチベ向上し、更新も増えます(多分…^^)
感想 13

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

処理中です...