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〜杉崎〜

疲労

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智花とともに自分の部屋に入ると、途端にどっと疲れが押し寄せてきた。

始終、気を遣って話して、異常に疲れた…
本当は今すぐ、一人で横になりたい。
あんなメンバーではもう二度と、相席するのはごめんだ…今回心から、そう思った。

拓海に警戒されているのは間違いない…
きっと、俺が彼女の近くで仕事をしていることもあり、俺が彼女に悪さをしないように、ああやって目を光らせているのだろう…小さい男だ…。

どんなに目を光らせたたところで、人の気持ちは縛ることはできない。

もしも彼女が、あの拓海という男に愛想をつかし、他の男に気持ちを奪われることになったとしたら…それはもう止めようがないことだ…

彼女の…いや、彼女に限らず、人の誰かを想う気持ちはその人だけのものだから…。

自分が相手を好きだとしても、その相手が自分に同じ気持ちを持っていないと仮に気付くことがあるとしたら、
そのことに蓋をして、その相手とそのまま付き合っていくことが、どれほど虚しいことであるか…わからないはずはない…。

それでも相手が好きで、その悲しい事実から目を背けてでも繋ぎとめておきたいなら…付き合っていきたいのなら…
それは個人の自由だ、そうすればいい…

でも俺はごめんだ。
自分が付き合っている相手の気持ちが俺にないとわかれば、すぐさまその相手を解放したいと思うタイプだ。
もはや自分に向かっていない気持ちを繋ぎとめようとすること自体、虚しいだけだからだ…。


「修哉さん…飲み過ぎたの?珈琲、淹れようか…?」

智花が俺の座るソファーの横に腰掛けてきて、間近に俺に尋ねる。

「…うん、…そうだね、でも俺が淹れよう…良い珈琲の豆がある…待ってて…」

すぐさま立ち上がろうとすると、腕を引かれてバランスを崩す…
必然的に俺が智花の身体の上に、のしかかるような体制になる。

「わっと… ん… っ…」すぐに、唇を塞がれる…

そのまま彼女のぬるりとした舌が、俺のわずかに開けられた唇の隙間から口内に侵入し、激しく舌を絡められ…


         …俺は目を閉じる。


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