【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜戸惑いの日々〜

野獣

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至近距離…に、杉崎さんの綺麗な寝顔…

睫毛がすごく長い…

私はゆっくりと顔を近づけていく…

そっと、唇を…杉崎さんの唇に重ねる…
柔らかな感触… 前にしたキスと同じ…甘い…あと、熱がまだ少しあるのか、少し熱い…

「ん…っ」
彼の唇を数秒…塞いだだけで、杉崎さんが少し苦しそうな声をあげて身じろぐ。

私はハッとして、
すぐさま彼から飛び去るように離れた…

…キス…してしまった…

意識のない男性…弱りきった杉崎さんに対して、なんてことを…
これは、完全にセクハラだ…
私は…野獣か…

すぐさま、自己嫌悪に陥る。

杉崎さんを見る。

寝返りを打ったまま、まだ眠っているようだ…。


このまま、
…彼が起きる前に帰ってしまおうか…

頼まれたものは全て買ってきたし、食事の用意はしたし…現に今、彼は寝入っているから…。

帰宅した後に、ラインで寝てたから起こさず帰りました、などと送信しておけば、違和感もない…。

もう、帰ってしまおう…
わたしは身支度を整え、荷物を手にする。

電気は…消す…?消さない…?

迷ったけど消さずにいたほうが、目覚めた後にきちんと食事をして薬を飲んで眠れるかもしれない…

そう考えて、そのまま玄関へ向かおうとすると、

「あ…水無月さん!…もう…帰っちゃうの…?」

振り向くと、悲しそうな顔をして、杉崎さんが私を引き止めるような発言をする。

「ごめん、ちょっと寝ちゃってて…良かったら一緒に食事しよう…」

「は…い…じゃあ、少しだけ…」

私は小さくそう答え、杉崎さんの顔を直視しないまま、もう一度部屋にあがる。

「…わ、美味しそうだ…いただきます…」そう言って微笑んで、杉崎さんが私の作ったお粥を口にする。

「あー…美味しい…すごく、あったまる…ありがと、水無月さん…うまいよ…うん」

嬉しそうに笑って、お粥を口に運ぶ彼を見ながら、わたしは罪悪感にさいなまれた…。

すみません…私、
あなたの意識のないのをいいことに、また、唇を奪ってしまいました…

心中はこうだが、私は笑いながら、「それなら良かったです…私もいただきます…」

なんとかそう告げて、その日は二人で笑いながら、質素な食事を囲んだ…



















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