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〜二人きり〜

白昼

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あ…拓海…どうしたの?
     急に、帰ってきたの…?

うん…仕事でいっとき休みをもらえるようになってさ、1種間くらい滞在できるようになったんだ…その間、おまえんちに泊まらせてくれよ…

え、えっと…1週間も…?

なんかすごいね、そうなんだ…。あ、でもちょっとさ…突然で部屋も片付いてないから、1日か2日、時間くれないかな…少し色々片付けたいし、家でしなきゃいけない仕事もあって…

あー … まあ、そっか…突然だもんな…うんまあ、待つよ…でもさ…

拓海が突然私を、ぐいっと近くへ引き寄せる。

キス…くらいはさ…いいじゃん…しようぜ、な…?

や…拓海…駄目だよ…こんな所で…誰かに見られたら…あっ…たくっ…

んっ…ン…

暖かい唇がそっと…羽根のように私の唇に触れる。

そっと押し当てられ…温もりを感じる…

ああ…柔らかくてすごく…心地良い…

ずっとこのまま…このまま…キスしてて…

拓海の長い指が、優しく…でも遠慮がちに私の髪を撫でる。

ああ…やっぱり拓海…もう、うちに上がっていいよ…
部屋が少し散らかってはいるけどごめんね…拓海になら見られてもいいや…来て…上がって…

それで…

…そんな軽いキスだけじゃなくて…

激しくして…

今日はすごく優しくてなんだか拓海らしくないよ…珍しく遠慮がち…だね…

ね…もっと…拓海…ね…

     たく…   たく…み…


「…ん、…あっ…」

目を開けると…そこは、

            …車内…だった。

あ…そうだ…私…杉崎さんと下見に…来て
ワインの試飲で酔いすぎて…寝ちゃった…んだ。

最悪…杉崎さんの前で、変な寝言口走ってたら…どうしよう。

杉崎さんの前に、無防備な寝顔を晒してしまったこともすごく恥ずかしい。

杉崎さんは運転席にいなくて、しかもそこは既に…旅館の駐車場…のようにも見える。

まさかもう、一人で館内を下見に…?

もう、最悪だ私…


コンコン…

    見ると窓の外に杉崎さんがいた。

ドアをあけ、ゆっくりとした動作で車内に乗り込んできた。

「…おはよう、水無月さん。すごく気持ち良さそうに眠ってたから起こすのが忍びなくて…
ちょっと俺も外で休憩してた。まだ予約まで時間あるしね…」

「…す…すみませ、本当にすみません…試飲のしすぎで酔って寝ちゃうなんて…ほんと恥ずかしい…だらしない顔…見ちゃいましたよね…あああ…不覚です…」
私が言うと、

「…そんなことないよ…正直、可愛かった…可愛くてこっそりキスしようかと思ったくらいに…なんてね、冗談冗談…彼氏に怒られるね、こんなこと言ったら…はは。

よし…じゃあ、そろそろ行こっか、大丈夫?」
杉崎さんが笑いながら、促す。

何気ない杉崎さんの発言…

キス…という言葉がでて…私はつい赤面する…

夢で見た…拓海とのキス…杉崎さんのまえで、本当に何か変なうわごとを…言っていたりしないだろうか…

「は…はい…じゃあ、行きましょう…」

私は怖くてそれ以上は尋ねずに、車を降りた。

前にした杉崎さんとのキスを…

      頭の片隅に追いやりながら…






















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