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~近付く二人~

甘いもの

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「あ…あの…私…」胸の中で言葉を発すると、杉崎さんがすかさず、口を開く。

「ごめんね…水無月さん…。水無月さんは全然、悪くないから…全部、俺が悪い…。」そう言って、私を抱き締めたまま、深い…ため息をつく。

「今のは…絶対、我慢すべきだった…ごめんね。でも…あんなこと、されたらさ…。」独り言のように呟く。

「いや…。うん…やっぱ、俺だけじゃないな…水無月さんも悪い、よね…?普通さ、頬にキスとか…しちゃ…駄目でしょ…彼氏以外の男に…。しかも、俺、水無月さんより一回り上だよ…マジで、こんなおじさんをからかうの…やめてね…」

また…深々と首を垂れて、重いため息をつく杉崎さん…。

「す…すみません…でも、杉崎さんが最初に、キスする?とか…言うから…なんだか、変な感じになってしまって…杉崎さんの横顔…ほっぺた…見てたら…なんだか、急に…キス、したくなっちゃって…」
私が素直に告白を続けようとすると、

「…あ!もう、ストップ…!ダメだよ…これ以上変なこと言ったり、したり…したら…。
マジで俺…ヤバいことになるから…。もう今日はここで、解散…いや、今から家まで送るから…今すぐ!向かおう。君の家に…ほら、立って…」

杉崎さんがすぐさま立ち上がって、私と自分の空き缶を二つ合わせて、近くのゴミ箱に捨てる。

静かな夜の闇に…ガランと鈍い音を立てて二つの空き缶が、ゴミ箱の中を真っ逆さまに…落ちていく。

「…すみません、結局また…送ってもらってしまって…今日は…ありがとうございました。ご馳走様でした…」
私のマンションの前で、杉崎さんに挨拶をし、手を振って、彼を見送る。

「また…行こうね。今日はごめん…変なこと…しちゃって…。どうかしてたね、俺たち…。
…っていうか、彼氏に知られたら、殺されちゃうかな俺…水無月さんごめん…本当に俺、反省…してます…。
良かったらこれまでどおり…接してほしい…。じゃ、おやすみ…また、職場で…」

そう言って、彼は夜の道に静かに、消えていった。

その日の夜は、
甘い珈琲のカフェインのせいなのか、
甘くてとても気持ちがいい…彼とのキスのせいなのか、私は…全然眠ることが出来ずにいた…

初めての感覚…唇と舌の感触…動き…キスの合間に感じられる、男の激しさ…猛々しくも甘い…口づけ…


本音を誰にもはばからずに言えるとするならば…また…したい…されたい…

まだ経験の浅い子供の私にとっては…そんな風に思える、大人の…甘いキスだった…







 








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