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〜お互いの日常〜

美声

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私は驚く。

杉崎さんはすごく歌がうまかった…。
普段は割と大きな声で話したり笑ったりしているから、歌う声の感じも、こんなかなと勝手に想像していた。

でも、杉崎さんの歌声は…囁くように繊細で綺麗で、高い声も出て、抑揚もあるけど控えめな声で…正直驚いてしまった。はっきり言って美声だ…顔も綺麗なのに…この声…
…反則だ。私はそう思った。

聴いていて、頭がぼうっとなるような…そんな甘い声… 

次は私が歌うのか…これは…ハードルが高い…密かに思っていると

「はい、おしまい…いや~…ちょっとやっぱり、古いよね?選曲しておいて、ちょっと恥ずかしいな…知ってるかな、水無月さん…この曲…」杉崎さんが、ワインを口に含みながら、こちらを見て笑う。

「あ!もちろん、知ってます!…杉崎さん、歌がすごくお上手ですね。…次に自分が歌うのが、恥ずかしくなってしまうレベルです…」私は本音で答える。
杉崎さんの歌った曲は…当然私も知っている曲で…5年程前にドラマの主題歌で使われたバラードの曲…。
ドラマのヒットとともに、世の中に知れ渡った名曲だった。

「いやいや、水無月さんも歌ってね?上手いとか下手とか関係なくさ、ね!ストレス解消になるし」

それから私たちは、ほとんど交互に歌い続けた。最初は恥ずかしかった私も、1曲目が終われば緊張感はなくなり、歌いたい曲をどんどん選曲するようになった。その間にもデザートを食べたり、お酒を楽しんだり…時にお喋りをして、予約していた時間があっという間に過ぎ去ろうとしていた。

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