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〜彼氏〜

拓海

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長谷川拓海。

高校2年の時に、初めて同じクラスになって、私が唯一仲良くなった男子だった。

私はもともと社交的ではなかったためか、なかなか男子とは友達になれず、いつも女友達とばかりつるんでいた。

勉強か読書に明け暮れていた私が、せっかくの学生生活…このままじゃいけないと思い立って、思い切って入部したテニス部。
なかなか上達はしなかったものの、先輩の部員や、既に1年の時から入部していた上手な同級生に習いながら、少しづつ練習を重ね、私も少しづつではあるけど楽しくなってきていた。

ある日の夕方、私が部活に行くために教室を出ようとしたその時、背後から声をかけられた。
「水無月さん…!」振り返ると…クラスメートの長谷川拓海。

クラスでは目立つタイプの、どちらかというとちょっと感じの悪い男子…なんだか人を見下しているような雰囲気があって…私の好きなタイプではなかった。特に話したこともなかったけど、彼が友人と話す時の口調などで、なかばそう決めつけていた。

なんの用だろうと内心驚きながらも、「あ…うん…何…?」つとめて普通に返事をする。

「あ…あのさ…水無月さんさ…最近、部活、入ったんだろう…?テニスだよな…」彼が言いにくそうに口を開く。

「う…うん…?…少しは運動不足を解消しようと思って…」…一体…何が言いたいんだろう…不思議に思う。

「…それってさ…あれ…だろ…?」あれっ…て…何…?何が言いたいのか…皆目見当がつかない。

「あれだよな…テニスといやーさ…オトコ…目当てなんだろう…?先輩に壁打ち習ったりとかさ…なんか密着してて…やーらしいよな…」

…耳を疑う…なんで…何も知らない…そもそも、ろくに話したこともないクラスメートの一人に…そんな風に言われなきゃいけないの…オトコ目当てって…すごくひどい…勝手な言われよう…。

「な…なんであなたに、そんなこと…言われなきゃなんないの…よ…」声が震える…。

彼は慌てたようにして、さらに言葉を重ねる…。

「いやっ…ごめん…っ!馬鹿にしたいとか、からかいたいとかじゃなくって…実は俺…俺…水無月さんのことが好きで…ずっと前から…気になってて…だからごめん、変な言い方して…!ただ…この前、テニス部の先輩らしき男にさ…水無月さんが壁打ち習ってるのを見かけて…ちょっと、焦っちゃって…ごめん…」

「良かったら…俺と付き合ってください!」

…驚くほどに唐突な、拓海の告白だった…。

そこから私と拓海の交際は始まった…。それからもう…7年になる…

私は拓海が好き…態度はつっけんどんで、冷たく見えて…でも本当は優しい…そんな拓海が好きだ…うん…好き…それは間違いない…

私と拓海は、2か月ぶりに身体を重ねた後…部屋でケーキを食べてゆっくりくつろいで、夜に、外に出た。

マンション近くに最近できた洋風居酒屋。
お洒落な感じで価格もリーズナブル…拓海が今度家に来た時に、二人で行こうと私が決めていたお店。

久々にゆっくりお酒と食事を拓海と楽しめる…

でもそこで…杉崎さんらと会うなんて…予想もしていなかったのだ。













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