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何食べる?
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その日出勤してからも、俺はソワソワしていた。
由良さんに会った時に、どんな顔をしたらいいのか…そもそも、あのラインは本当に俺に来たものなのか…
そう疑っては、何度も携帯を取り出して確認するが、間違いはない。
「抱いてください、私で良ければ…」、とある。
まさか、この期に及んで、「抱いて=単なるハグ」みたいな…冗談…?いや、ありえない…
…多分由良さんの性格で、そんな質の悪い冗談は、このタイミングで俺に言ってこない気がする。
もやもや考えながら給湯室で珈琲を抽出していると、背後に気配があった。
振り返ると…由良さん。
俺は一瞬、言葉を失う。おはようとか、お疲れ様です…という社交辞令のキーワードも、忘れてしまったように、脳が一瞬停止する。
「……」
俺が黙っていると、由良さんの方が口を開く。
「おはようございます。…昨夜はすみませんでした、夜遅くまで、携帯開いてなくて…お返事遅くなりました…」
俺は、「あ…いえ、全然…」それ以上、やっぱり言葉が出てこない…
なんて言えばいいのかも、さっぱりわからない。
由良さんが一瞬、周りに人がいないのを確かめるように、左右を確認した後、俺の方を向き直って告げる。
「あの返事…冗談、とかではありませんから… それだけ、お伝えしておこうかと…。」
俺は…まっすぐに由良さんを見つめる…。
マジなのか…あの返事…冗談じゃなく、マジで、由良さんが俺との…セッ…性交渉を…承諾したってのか…。
由良さんが俺の視線を感じたのか、すぐに目を逸らし、「あ、私、もう行きます…今日も頑張りましょうね。」
そう言って、彼女は給湯室を軽やかに立ち去った。
夢ではないのだ… 俺は…ついに、彼女の全てを…手に入れる権利を…得た…
今日は仕事に…なりそうにないな…
俺はそう思いながら、珈琲片手に席に着く。
ただ一つ…モヤモヤしたこと…
昨夜彼女は…夜遅くまで、携帯を開いてなかったと…つまりそれは…それは…
旦那に…夜遅くまで、何度も…抱かれていた…と、…そういうこと、なのだろうか…
旦那の誕生日で料理とケーキを囲み、
キャンドルの中…二人でしっとりと祝って…良い雰囲気のままに…旦那に…押し倒されたとか…?
服を乱暴に脱がされて、もしかしたら身体中舐め尽くされて…あんなところ、触られまくって…何度も…?
ああ…きっと…そうなんだろうな…そうに違いない…
あんなに魅力的な彼女と夜一緒にいられて、手を出さないでいられる男が、世の中に何人いるだろう…
ああ…きりがない…そんな想像しても…辛いだけだ…俺はそう、気持ちを切り替える。
彼女が承諾してくれたんだ…少なくとも、嫌われてはいない…
俺だって…そのうち…彼女の全てを…俺のモノに…
その日はなんとか、由良さんと旦那のおかしな想像をして辛くならないように、俺は必死に馬車馬のように働いた。疲れて自宅でビールを飲んでいると…予想もしなかったが、彼女から連絡があった。
「今週末、良かったら食事に行きませんか…?」と。
いいに決まってる。俺は即答し、いつもの質問をする。「OKです、行きましょう。何食べたいですか…?」
由良さんの答えはいつも通り。「木下さんの食べたいもので良いです。」と。
俺が食べたいもの…
ずっと食べたくて我慢しているもの…
「俺はなるべく早く…由良さんを食べたいです。」
あほか…バカな俺…調子に乗って、がっつきすぎ…だよなと、送信したことを後悔していると、由良さんから
「…わかりました…食べて…ください…では金曜日に」
は……!?俺は画面を二度見する。
間違いなく、そう書いてある…
いつも真面目な由良さん…どっか、壊れちゃったんじゃないか…
つづく
由良さんに会った時に、どんな顔をしたらいいのか…そもそも、あのラインは本当に俺に来たものなのか…
そう疑っては、何度も携帯を取り出して確認するが、間違いはない。
「抱いてください、私で良ければ…」、とある。
まさか、この期に及んで、「抱いて=単なるハグ」みたいな…冗談…?いや、ありえない…
…多分由良さんの性格で、そんな質の悪い冗談は、このタイミングで俺に言ってこない気がする。
もやもや考えながら給湯室で珈琲を抽出していると、背後に気配があった。
振り返ると…由良さん。
俺は一瞬、言葉を失う。おはようとか、お疲れ様です…という社交辞令のキーワードも、忘れてしまったように、脳が一瞬停止する。
「……」
俺が黙っていると、由良さんの方が口を開く。
「おはようございます。…昨夜はすみませんでした、夜遅くまで、携帯開いてなくて…お返事遅くなりました…」
俺は、「あ…いえ、全然…」それ以上、やっぱり言葉が出てこない…
なんて言えばいいのかも、さっぱりわからない。
由良さんが一瞬、周りに人がいないのを確かめるように、左右を確認した後、俺の方を向き直って告げる。
「あの返事…冗談、とかではありませんから… それだけ、お伝えしておこうかと…。」
俺は…まっすぐに由良さんを見つめる…。
マジなのか…あの返事…冗談じゃなく、マジで、由良さんが俺との…セッ…性交渉を…承諾したってのか…。
由良さんが俺の視線を感じたのか、すぐに目を逸らし、「あ、私、もう行きます…今日も頑張りましょうね。」
そう言って、彼女は給湯室を軽やかに立ち去った。
夢ではないのだ… 俺は…ついに、彼女の全てを…手に入れる権利を…得た…
今日は仕事に…なりそうにないな…
俺はそう思いながら、珈琲片手に席に着く。
ただ一つ…モヤモヤしたこと…
昨夜彼女は…夜遅くまで、携帯を開いてなかったと…つまりそれは…それは…
旦那に…夜遅くまで、何度も…抱かれていた…と、…そういうこと、なのだろうか…
旦那の誕生日で料理とケーキを囲み、
キャンドルの中…二人でしっとりと祝って…良い雰囲気のままに…旦那に…押し倒されたとか…?
服を乱暴に脱がされて、もしかしたら身体中舐め尽くされて…あんなところ、触られまくって…何度も…?
ああ…きっと…そうなんだろうな…そうに違いない…
あんなに魅力的な彼女と夜一緒にいられて、手を出さないでいられる男が、世の中に何人いるだろう…
ああ…きりがない…そんな想像しても…辛いだけだ…俺はそう、気持ちを切り替える。
彼女が承諾してくれたんだ…少なくとも、嫌われてはいない…
俺だって…そのうち…彼女の全てを…俺のモノに…
その日はなんとか、由良さんと旦那のおかしな想像をして辛くならないように、俺は必死に馬車馬のように働いた。疲れて自宅でビールを飲んでいると…予想もしなかったが、彼女から連絡があった。
「今週末、良かったら食事に行きませんか…?」と。
いいに決まってる。俺は即答し、いつもの質問をする。「OKです、行きましょう。何食べたいですか…?」
由良さんの答えはいつも通り。「木下さんの食べたいもので良いです。」と。
俺が食べたいもの…
ずっと食べたくて我慢しているもの…
「俺はなるべく早く…由良さんを食べたいです。」
あほか…バカな俺…調子に乗って、がっつきすぎ…だよなと、送信したことを後悔していると、由良さんから
「…わかりました…食べて…ください…では金曜日に」
は……!?俺は画面を二度見する。
間違いなく、そう書いてある…
いつも真面目な由良さん…どっか、壊れちゃったんじゃないか…
つづく
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