【完結】あの可愛い人妻を、誰か俺に譲ってください。

もえこ

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吐露

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「こんばんわ、白石さん。今日もお疲れ様でした。今日はなんだか夕方、速攻帰られていましたね。何か、あったんですか…?」

もちろん理由はわかっていた。
旦那の誕生日だろ?
知ってるよ…そんなこと。
でも、なんとなく、そんな風に書いてしまった。

俺は続ける。

「…この前の夜は、すみませんでした…俺、調子に乗って、あんなこと…までしてしまって…怒っていますか…?白石さん…俺…」俺はいったん、深呼吸をする。もういい、全て、伝える…。

「俺…もう、どうやら…限界、みたいです…俺の本音…俺の本音は…あなたを…抱きたい…。
もう…キスだけで…抱き締めるだけでは…我慢できません。だから…、抱かせてください。」

一気に文章を打ち込み、送信ボタンを押す。

…やっちまった…

旦那と今夜、ふたりきりで…しっとりと誕生日を祝っているかもしれない由良さんに…。
旦那に激しいキスをされたり…めちゃめちゃに…抱かれて…甘い声をあげている…かもしれない由良さんに…ついに自分の欲望を…吐露…してしまった。

彼女が旦那に抱かれる姿を…そんな情景を想像しただけで、心が締め付けられる…
胸をギュッと…素手で、鷲掴みされるようだ…

ああ…辛いし…苦しい…
恋ってこんなに、辛かったっけ…?

こんな感情、俺は今まで知らなかった…

既に人の奥さんである由良さんを…
自分のモノにしたい…

自分の中の、抑えようのない欲望を…なんとか押さえつけながら俺はその夜、彼女の返事を待ったが…

数時間後の夜中、やっと既読になったものの…
結局彼女から…その日、返事はなかった。
誰か…助けて欲しい…

人を好きになるってことが…

そしてその好きな人が…他の男に抱かれているかもしれないと想像することが…こんなにも、苦しいものだったなんて…

                 つづく




   
  







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