【完結】あの可愛い人妻を、誰か俺に譲ってください。

もえこ

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決意

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彼女に告白する。

俺はそう決意したものの、休みに彼女にアクションを起こすと、旦那にばれる可能性があると思い直した。

本当は、告白を決意した勢いのままに、半分以上彼女への気持ちを文章にしていたけど、やっぱり…全て削除。
そういうわけで俺は土日、悶々と過ごした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
月曜日。彼女に職場で何度もすれ違ったが、やっぱり彼女は普通の表情で俺に普通の挨拶をし、いつもと変わるところがない。 
なんなんだ…由良さん…俺ってやっぱり完全に…人妻に、遊ばれてんのかな…

彼女の平然とした姿に、一種のいら立ちを覚える俺。
由良さんのことをこんなに好きなのに、彼女が俺を意識していないのが、なんとなく癇に障る…
最近わかってきたけど、今まで自覚もなかったけど、俺ってほんとは、滅茶苦茶…心が狭いのかもしんない。

「お先に失礼します…」
今日は彼女が仕事を終えて颯爽と部屋を去っていく。
珍しく早いな…と俺が思っていると、彼女の席近くに座っている同僚が話しているのを耳にする。

「今日、白石さんの旦那さんの誕生日らしいよ、ケーキ、駅前の店に注文してるとかで受け取って帰るんだって。なんか、ラブラブだよな~。い~な~俺も、奥さんか彼女、欲しー」皆が楽しそうに雑談を続ける。

俺の心は…その話に、悲しいほどざわざわした…

当たり前だ…彼女は…なんたって、人妻…、結婚してるんだから。

旦那の誕生日に、二人で祝うのは当たり前だし、デートだって、映画だって、白昼堂々、楽しめるんだ。

昼間のランチだって、カラオケだって、泊りの…旅行とかだって…行きたい放題だ。

クリスマスだって…正月だって…いつでもどこでも、どんな時でも…二人でいられるし、いることに違和感がない。

夫婦なら、したいときにキスして、抱き締めて…したいときに彼女を求めて…泣かせて…よがらせて…ああ…。



…なのに、俺はどうだ…俺は単なる…同僚だ…

今はやっと、前よりもグッと立場が昇格して…キスフレ…ハグフレ…位にはなれたかも、しれないけど…所詮…他人… こそこそと…人の目を盗んで…俺…何をやってんだ…俺の立場は一体、なんなんだ。ああそうか…単なる遊び相手かな…

なんで俺…彼女と結婚…してないんだろう…
なんで俺、彼女が旦那に会う前に…彼女と出会えなかったんだろう…

 
ああ…苦し過ぎる…

俺は自覚した…そう…俺は最近、キスだのハグだの…前より格段に、彼女に近付き過ぎて…逆に辛くなってきていた…前みたいに遠い存在なら…まだ良かったんだと思うけど…

 もう…我慢なんて無理…
     もっと彼女と近づきたい…
        彼女が欲しい、
  彼女の全てを…俺のモノにしたい…

あの可愛い人妻を…誰かなんとかして、俺に…譲ってくれないかな…俺の持ってるもの…全て差し出すから…

 
    俺はかなり…切羽詰まっていた。

そして、その日…彼女の夫の誕生日、その日の夜に彼女に連絡をしたんだ。


    馬鹿な男だと…自覚しながら。
 

               
                  
                                









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