【完結】あの可愛い人妻を、誰か俺に譲ってください。

もえこ

文字の大きさ
上 下
22 / 60

しおりを挟む
俺と由良さんは毎日ではないが、割とラインで連絡を取るようになってきていた。

その日の些細な出来事や、行ってみたい店の話、映画や本の話、色々と話は尽きない。

職場では席も遠く、1日に話せても、数分程度だから、むしろラインで話すときの情報量が断然多くなってきていた。

でも彼女には家庭がある。
だから俺の返信はもちろん恐る恐るではあったが、彼女からくるラインには、可能な限り応じた。
でも、その度重なる連絡のせいで、本当に最近、由良さんが俺にとっての付き合いたての彼女のような…そんなおかしな錯覚に陥りそうになる。

気を付けなければ…
あくまで彼女は人妻なんだから…
そう、自分に何度注意喚起しても、彼女をさらに好きになっていく自分の気持ちは止めようがなかった。

だって、望めば…というか正確には、今のところ、彼女からアクションがあったときのみに限られるが、ハグだってできる。旦那以外に、彼女の柔らかで華奢な身体をこの胸に抱くことができるのは、俺だけだ…

その事実が、俺の彼女に対する気落ちに拍車をかけていた。

 ある時、いつもどおり彼女との楽しいラインのやり取りをしている最中に、彼女が俺に初めて、家庭の不満みたいなものを漏らしたことがあった。
彼女はこうつぶやいた。「疲れました、遠くに行きたい…一人になりたい」と。

俺は思い切って、でも冗談めかしてこう返事をした。

「なんか、嫌なことでもありましたか?…俺もちょっと疲れてて…いっそ一緒に、遠くに行きますか?…あ、でも、それだと、一人になれないか…笑」

すると彼女はこう、返してきた。

「いいですね!どこ、行きます?日帰り?お泊り?もういっそ、沖縄とか北海道がいいです、何もかも忘れて遠くに…」 

おいおい… 俺はため息をつく…
これは…寂しい独身男に返すべきではない冗談が過ぎる内容の返信だ…いつも、由良さんはこんなことを俺にいって、俺をこんなにも…惑わせる…

俺は一種の苛立ちを覚え、わざとこんな内容でラインを返す。

「それでは、どちらにしましょうか?俺は北と南、どっちも好きな場所なんでどっちでもいいですよ、白石さん、日程と行き先、自由に決めてください。」

彼女はこのラインで、少しくらい戸惑ってくれるだろうか…
俺をいつも惑わせ、寸前のところで我慢させ、俺を唯一、その魅力的な顔で、身体で、翻弄する人妻。

「…すみません…冗談が過ぎました。木下さん、ごめんなさい、でもまた食事には付き合ってくださいね。」

想像通りの、彼女の回答…ほらな…いつもこうだ。

こうやって彼女は俺をいつも翻弄し、俺がいざ、ヤバイ方向に話をわざと持っていこうとすると、すぐ、態度を翻す。
この部分については、彼女はとっても、ずるくて…ある意味、残酷だ…
でも、悲しい性分だが俺は、彼女の気持ちになるべく沿えるように努力する。怒らず、態度を変えずをモットーに。

「…ですよね。俺も冗談です。はい、食事にはまた、いきましょう。」そう、文字を打ち込んだ後、俺に少しだけ、心の中の悪魔が、ささやいた。

おまえ…いつもそんなんでいいのか…?
彼女にきわどい冗談でからかわれ、ハグしながらも気持ちを抑え…ずっと結局、彼女に…ある意味、利用され続ける。かわいそうな奴だな…まるで…拷問だ。

その悪魔のささやきで、俺の中の本性が目を覚まし、彼女に反撃する。

「白石さん…でもその後、また、ハグですよね…?ハグはまあ、いいんですけど、一応これでも俺…男、なんで…本当はその先を、つまり…キスとか…したくなったりしてます…あ、もちろん今抑えていますけど。だからもう、ハグは…やめますね。」

俺はそう、ラインを続け送信ボタンを押した。

完全に、一種の、賭けに出た。
これで由良さんが引くなら、それでもう、全て終了、変な期待はせずに、俺は身を引く…しかない。

もし彼女が引かないなら…その先は、俺にも…もはや、よくわからない

俺はそろそろ…甘美な拷問に耐えられなくなってきていたのだ。俺は勢いでラインして初めて、そのことを自覚した


彼女からの返事は…こう、だった。

「キス…までは、わたしの許容範囲内…です…」
                
    え…?

  え…嘘…  うそうそ…!? 夢か…?
  また、いつもの冗談か?

    ドッキリ、とか…?!

俺は文面を何度も見返し、布団に突っ伏した。


              つづく

























しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...