【完結】あの可愛い人妻を、誰か俺に譲ってください。

困惑

え…？？

今、なんと…？　俺の聞き間違いか…！？

セック…　ス　フレンド…とかなんとか…

はァ…　…！？　どうしちゃったんだ、由良さん…

俺は、みっともないことに、数十秒、絶句した。うまく言葉が繰り出せない…

　
「えっ…と…　あの…」…俺がしどろもどろになってどうする…　ふいに由良さんを見ると、真剣な目。

冗談を言っているようにもみえない…　冗談でないなら、余計に意味がわからない…


「あの…白石さん、今、なんて言い…ました…？　もしかして、かなり酔っちゃってます…？あの…その…　セッ…　スフレンドって意味、ほんとにわかってます…？」　

俺は困惑の中、思い切って聞いてみる。

「…はい…ちゃんと、わかってます…あ…あの…だ…駄目…ですよね…？やっぱり…」

彼女が俺を一瞬見て、すぐに目を逸らし、グラスに口をつけながら、恥ずかしそうに顔を伏せる。

「いや…あの…駄目…っていうか…その…」

俺は…気が動転していた。

俺の好きな由良さんが、あろうことか…セックスフレンド！？…を募集している。

いや…募集という言葉は正確ではない。俺に、セックスフレンドの申し出を…している…！？

やっぱり、意味がわからない。

彼女の真意は何なんだ…　もしかして俺は、かわいそうな独身男として彼女の目に映り、彼女に、からかわれているんだろうか…

でも、俺の知っている彼女は、人をからかうような性格ではない…気がする。

俺は頭を整理しながら、口を開く。

「白石さん…　は、結婚されてますよね？…だから、そういう…まあ、そういうことはご主人と…するべきであって、その…フレンド的なものを外に求める…って…あっちゃいけないことだと…いう気がするんですけど…違いますかね…？俺、なんか混乱しちゃってますけど…違う…かなぁ…」
…悲しいほどに、真面目な男モード、全開だ。

由良さんが、俺を見ながら、顔を真っ赤にして答える。

「そう…ですよね…世間的には、駄目…なこと、ですよね…　ちょっと私、自分の発言が…恥ずかしくなってきました…すみません、…酔ってたってことで…　今の、忘れてください…！」

　　　　　　おいおいおいおい～～～～　…　ひどい。忘れられるわけ、ないよ…

自分のずっと好きな人に、そんなコト言われて、それを忘れろ、だなんて…これからどんな顔をして、由良さんと食事に行けるんだ…　　

由良さんはもしかして…　旦那とそういうこと…最近、していないとか…そんな感じ…なんだろうか…いわゆる、レスなのか…？　この魅力的な女性をほうっておく男なんて、いない気がするけど…

「はあ…まあ…わかりました…あの、気を付けてくださいね、俺以外に、そんなこと、言った相手、今までにいたりしますか…？」

俺が恐る恐る、聞くと

「いえ！とんでもない…これが初めてです、木下さんだったら…と、思っただけで…つい…」

俺はげんなりしてきた…俺だったら…って…？俺だったら…そんな…行為…できるかもって…言っているのか…？
おかしな期待を、俺に抱かせないで欲しい。

俺は、本当に由良さんが好きで、表面的にどんなに紳士のようにふるまっていても、頭の中では最低な男で、
可愛い君に舌を絡めて深いキスをしたり、
服を脱がせて胸を激しく揉んだり、
嫌がる君を押し倒して無理矢理に脚を開いて、恥ずかしい部分に触れたり、舐めたり…

いろんなイヤらしい想像をして、何度君を…頭の中で、夢の中で犯してしまっているか…

いつもは抑えている彼女への性的感情が、むき出しになりそうになるのを俺はなんとか理性で抑え込む。

「白石さん…駄目ですよ…既婚女性が…男にそんなこと、言ったら…俺だから…まだ、良いですけど…変な男にそんな発言したら、勘違いされて、やばいことになります…危険な目にあいますよ。絶対、冗談でも言っちゃダメです。」

俺は必死に訴える。

真面目な俺ですら、彼女の発した、セックス…というキーワードで、こんなにも…ぐらついてしまう、この状況。

遊び人の男に同じ発言をしたなら、由良さんみたいな真面目な女は、きっとひとたまりもない。迫られて無理矢理に抱かれるのが、オチだ。

「わかりました…ごめんなさい…」由良さんが、真っ赤な顔で、俺に頭を下げ、謝罪する。

「あ…いえ…今日は飲み過ぎましたね、じゃあ、そろそろ…解散しましょう…」

いつも楽しい飲み会が、俺にとっては、一種、我慢大会のようになってしまった。


俺の好きな由良さんから、セックス…なんてワードを発せられ、しかもそれが俺に…一応、向けられていた。それでも…彼女は人妻…俺は、耐えなきゃなんない。

その気がないのなら、冗談でも、二度とこんな発言をしないでくれ…二度目は自分を抑える自信がない。

俺はそう思いながら、その日、彼女と別れた。