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有りか無しか

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居酒屋で一時間ほどすると、由良さんがいい感じに酔っ払ってきた。彼女は人に絡むとか記憶を無くすとかは今までに一度もなく、ふんわりといい感じの酔い方をする。

酔うと普段よりお喋りになり、なんとなく陽気になる。普段のしっかりめな由良さんももちろん好きだが、酔っ払いモードは少し肩の力が抜けていて、さらに可愛い。

見た目にも、白い肌が、ほんのりピンクになっていて、やけに色っぽい。

……いかん いかん、また、エロい目線で見ていたかもしれない。俺…かなり最近、欲求不満…かな。

「今日は私、すごく楽しいです。しばらくご飯なんてゆっくり食べに行けてなかったから…
木下さんは、普段、よく外食とか飲み会とか、行かれてますか?」と、由良さんに聞かれる。

「あ、俺は1人だから、行きたい時に適当にフラッと行ってますよ~作るの面倒ですし、ていうか、自炊の方が、断然回数、少ないです」

俺がそう答えると、由良さんがまさかの発言をする。

「あの…本当にもし、良かったら…なんですけど、時々で良いのでご飯とか、付き合ってもらえませんか?」

  … … ええ?俺なんか、で良いの?

      それが最初の感想。

 俺は驚きながら答え、同時に探りを入れる。

「え?あ、あ… もちろん、大丈夫というか、俺は暇人なんで、いつでも喜んで行きますけど… 白石さんは大丈夫なんですか? …旦那さんとか…」

旦那さん…とか本当は呼びたくもないし、存在も認めたくないが…まあ、ここは社交辞令で聞いてみる。

すると、由良さんは、遠い目をして、
「あ…いいです、うちは…お互いに詮索しないので、気にしないでください。自由気ままな感じで、ぜひよろしくお願いします。」

俺の人生で、こんなにも残業に感謝したことなんてあっただろうか。
       俺は即答していた。

「じゃあ、ぜひ、時々ご飯とか飲みとか、行きましょう、俺は1人だから、白石さんがよい時に遠慮なく、お声掛けください」

こうして俺と由良さんは食事などを通して、少しずつ距離を近づけるようになった。

…っていうか、世間的にはどうなんだろう…
 既婚女性と独身男性の度々の食事、
         ありかなしか……?

 

                  つづく

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