【完結】あの可愛い人妻を、誰か俺に譲ってください。

もえこ

文字の大きさ
上 下
9 / 60

残業万歳

しおりを挟む
ある日、俺は残業することになった。もちろん、時々は残る俺だが、基本的には明日に回せる仕事は明日に、をモットーに出来るだけ日々の残業を減らせるようにしている。

ただ、その日は違った。
午後から急に大量の仕事が舞い込んだ。しかも、明日、それに費やす時間を確保できる状況でもなく、俺はムカつくが、残業を余儀なくされた。

今日は久々に帰りに映画でも、観て帰ろうと思っていたのに、ちくしょう…
時計を見るともう既に17時すぎ。

俺はうなだれながら完全に残業を覚悟して、19時まで空いてる食堂兼売店に、間食用のパンやらカップ麺、栄養ドリンクを確保するべく向かう。

あ!…
売店に由良さんがいる。

「白石さん、お疲れ様です。今の時間にここにいる、ということは、もしかして、残業ですか?」

俺が尋ねると、

「ばれました?… というか、昨日も残業したので、なんだか疲れちゃいます…あれ?珍しいですね、もしかして、木下さんもですか?」と由良さん。

人に聞いたが、由良さんは時々だがやはり残業しているらしい。恐らく、俺より頻度はかなり多め。残っているからこそ、俺がよく定時に帰るのを目にしているに、違いない。

「え?昨日もだったんですか?…連続は辛いですね、あまり無理せず…帰ってくださいね」

俺はそう言いながら、久々の残業位で、イライラしていた自分自身に、喝を入れる。
由良さんに比べたら、今日の残業は大したことじゃない。いちいち文句垂れてないで、やんなきゃ。

「あ…はい。そうですね、なるべく、早く帰れるように頑張ります。じゃ、また…部屋で」と由良さん。

色々と買い込み、デスクに戻り、
その後、俺はかなり気合いを入れて仕事を片付けた。

気付くと…部屋には俺と由良さんと、もう1人しか残っていなかった。

時計を見ると既に19時半過ぎ…あーあ、もう、とても映画は無理だ… 俺は諦め、残りの仕事を片付けようとしていたら、「お先に!」ともう一人が部屋を出る。

 気付けば、由良さんと二人きり…

とはいえ、フロアは広く、デスクはかなり離れているので少し緊張はしたが、そのまま仕事を続ける。
出来れば、20時迄には終わらせたい…その一心で。

20分ほどして、俺の仕事の終わりの目処がついた頃、由良さんがやってきて、俺の机にチョコレートを二つ置いた。

「良かったら、どうぞ…木下さん、まだ…頑張りますか?」

…この質問、どういう趣旨だろう?

由良さんは先に帰るけど、という意味かな?

俺は素直に答える。

「いえ、実はもう、ちょっとなんだか限界で…20時までにはあがろうかと…」

ん?… 
彼女が心なしか、もじもじしながら俺の横に近づき、

「そうなんですね…あ、あの…木下さん、本当にもし、よかったらなんですが… この後どこかで、軽くごはん、食べて帰りません…?」…彼女が言う。

俺は、耳を疑う。

え?…ええっ!? 
動揺しながらも、俺が由良さんからの誘いを、断るはずもない。

「いい、ですね…ぜひ!行きましょう!」

はやる気持ちを抑え、残務処理をする。

もはや、残りの時間は、何をしているのかわからないくらい、俺は浮き足だっていた。
残りは明日の朝でいいや、今やるとミスしそうだ。

俺は、まるで最初のデートのように、ウキウキしながら、デスク周りの片付けを始めた。

残業して良かった!そう、心から思った瞬間だった。

                       つづく
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...