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由良さんの魅力

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彼女は俺とは違う係の配属になったものの、同じ部屋で基本的に仕事はほぼかぶってる内容だったため、俺が色々と教えたりするようになった。

説明したことは、きちんとその場でメモをとる。
そして、彼女に最初説明したら、同じことを聞かれることは一度もなかった。
それほど彼女はいつも、誰に対しても、真摯な姿勢を崩さず、仕事に対して一生懸命だった。


最初は、挨拶の際の静かな雰囲気と洋服の地味さから、実はあまり雑談などはしない真面目なタイプかと思っていたけど、いざ話をしてみたら、かなり気さくでむしろ、面白系。

そのへんのキラキラしたお洒落な女子より、漫画やゲームについても結構知っていて話が通じるもんだから、すぐに彼女は周りの皆と、打ち解けた。
そう、周りの男性社員も、きっと、彼女を好きに違いない。 

もはや、彼女が好かれない要素は、1パーセントも見当たらなかった。

それからの3年間、係内異動は何度かあったものの、俺は運よく彼女と部屋を変わることなく…現在に至る。

だからこそ、物理的には離れられず、好きの気持ちを、止めることができなかったのだ…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「木下さん、進撃の小人、っていう漫画、知ってます? 私、今数冊借りてて、キャラが可愛くてすごくはまってて…」
 
お昼にたまに給湯室で一緒になり、そんな話を振られると、俺の心はその日一日中…踊る。

「あ~知ってます、知ってます。実は俺、全巻、持ってますよ!あ…」…(良かったら、貸しましょうか…?)

心の声が、由良さんに対して、漫画の貸し出しを提案しようとする。何故なら少しでも彼女と、つながりたいから…。

でもやっぱり、彼女は人妻。
旦那との愛の巣に、俺の漫画… 
きっと、邪魔だな…旦那にも、なんて思われるか、わかったもんじゃないや。

俺は心の声をおさえ、彼女に伝える。

「その漫画、どんどん、絵が綺麗になりますし、面白くなりますよ~読み終えたら感想、聞かせてくださいね」

「はいっ。楽しみだな~☆今日も夜に、続き、読みまくります!では、午後も頑張りましょうねっ」

ひらりとスカートを揺らして、由良さんが俺に微笑みかけ、立ち去る。

はい!午後も一生懸命、頑張れそうです、俺。

 
あーーー …好きだ好きだ…もっと、その可愛い顔を見ていたかった。

仕事なんてほったらかして、彼女と、カフェとかでお茶したい。ご飯行きたい。飲みに行きたい。
 
彼女と沢山話したい、彼女に悩みがあるなら全て、聞いてあげたい。
 
(抱きしめたい、キスしたい、彼女の…すべてを知りたい。)…俺はダメな男だ…もはや、変態だ。 

彼女に対しては、ホント最近の俺って…やばいかも。この気持ちを爆発させて彼女を困らせるつもりなんて毛頭ないけど、3年間もの長い間…気持ちが吹っ切れていないままの俺
  …既に、かなり限界がきていた。


夫婦間はうまくいってるのかな?多分、ありえないと思うけど、冷え切ってて欲しい…なんて…

あーあ…不毛だ…バカな俺…冷静に冷静に…なんてったって。彼女は人妻。
彼女の幸せは、間違いなく、家庭にあるんだから

               つづく

                         

           
 








 



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