【完結】あの可愛い人妻を、誰か俺に譲ってください。

もえこ

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重症

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飲み会は一次会で、アッサリ終了した。

今日は会社内有志だけでの飲み会に久々に参加していた。

「二次会行く人、何人~?」幹事の男が叫んでいる。

飲み会メンバーは20~30代の若手男女のみ。
30代は…若手…でよいかな?
その辺はまあ、横に置いておく。
二次会、どうするかな…?
彼女はまた、不参加かな。
彼女が行くなら、俺も手を挙げるんだけど…

あ!
自己紹介が遅れました。
俺は木下 健斗けんと
33歳、独身、彼女なし

いつから彼女がいないかって…

俺の現在好きな女性、
白石由良さんに出会うまでは、
しっかりいたよ、なかなか綺麗な人だった。

でも、三年前に初めて由良さんに出会ってから、俺は当時の彼女に、段々と愛情を注げなくなってしまって、気付けば破局。

他に好きな女がいるんでしょー!?って…
いきなりその彼女にキレられて、アッサリ終わり。やっぱり女の勘はするどい。俺の気持ちが迷子になっていたこと、ばれてたみたい。

彼女、由良さんは出会った頃から既に、いわゆる人妻だった。

それなのに、仕事などで接するうちに
どこの若いキラキラ女子よりも、好きになってしまった。何度も、自分を誤魔化そうとした。
何度も、他の女で紛らわそうとした。
でも、どうやっても無理だった…

こんな恋、駄目なのは百も承知。
全然報われないことも、わかっている。
でもつい、目で追ってしまうんだ。

彼女が笑うと、俺も嬉しくなる。
彼女が落ち込むと、全力で慰めたくなる。
彼女が我慢して何も言えないんだとわかると、
俺が代わりに文句言って暴れてやりたくなる。

誰にも相談できないし、本当に不毛だ。

だって、彼女には家に、愛する夫がいる。

毎日のように、キス…しているのかな。
旦那の欲望のままに、その身体を触らせ、
抱き締められ、激しく抱かれたりしてるのかな。

どんな顔で、どんな声で、どんな仕草で…
男の性を…その身に、受け入れてるのかな。

相手は、もちろん、旦那だ。本当に
考えたくもないのに時々、想像してしまう。

辛い、苦しい。
できればいっそ、離れてしまいたい。
由良さんのこと、考えなくて済むように。

でも、近くにいたい。
もっと、話したい。笑顔を…見たい。

重症な俺は、彼女から離れることもできず、
当然ながら近付くこともできず、
胸の内にくすぶる熱い想いを、なんとか
なだめながら、毎日を過ごしている。

「あ、私、すみません!今日は遠慮します、
ありがとうございました。」由良さんの、声。

はい、俺も!不参加です!彼女がいない二次会、行く意味がわかりません。内心の声はさておき、俺は真っ直ぐ帰路につく。

     
               つづく
 










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