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ウェンリーだけが
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ウェンリーが俺の告白にいったんは、頷いたものの、
しばらくの間、沈黙してしまう…
俺の話を信じてくれただろうか…
仮に信じていたとしても、リンスの中身が…
つまり、俺が男だと聞いて…引いてしまったかもしれない…。
見た目がいくら超絶美少女だとしても…さすがに中身が元おとこになったって聞かされたら
引くわ…興ざめしたって、全くおかしくない…。
俺はゴクリとのどを鳴らしながら、奴の返事を待った。
「…それは本当の話…なのですか、リンスお嬢様…が、今は、さくらぎ、まなと…?貴女が男だと…」
「…はい、そうなんです、完全に男です…いや、…過去に、男でした。俺は多分、不慮の事故で死んでしまって…なんだかわけがわからないままに、この世界に転生し、この女の…いえ、このお嬢様の中に…まさに、今日起きたばかり…の話ですが…」
ああ…本当の話をし始めて、ところどころ「私」が、「俺」…になっちまう…
いや、そんなことを気にしている場合ではない…。
もはやすべて、ぶちまけてしまおう…俺はそう思った。
「そうか…それで…なるほど…なんだか、今日あなたにお会いした時から…違和感があったのですよ…何かが違うと…だってあなたはいつも…」
ウェンリーが、口を噤む。
ん… 俺? リンスがいつも… なんなんだ…?
「貴女はいつも、私を…情熱的な目で、見つめてきました…私に気がないふりをしながらも、完全に目で…私の姿を追ってきていた…。ふふ…」
ウェンリーが妖し気な表情で微笑む。
「フェイルお嬢様は大変わかりやすかったですが…リンスお嬢様は、その本心を隠しに隠し…周りにバレないように…私を密かに、慕っていたのだと思います…リンスお嬢様はフェイルお嬢様と違い、私に対して全くわかりやすいアピールはありませんでしたが… それが逆に…そそられて…」
そう言いつつ、クスクスと笑うウェンリー…
なんなんだ…この反応…。
「だから私は…リンス様をからかうのが楽しくて…無理をして私から目を背ける姿があまりに可愛らしくて…だからこそ、フェイルではなく彼女を…リンス様を花嫁に…したかったんです…そのほうが断然面白いので… 」
なるほど…自分に敢えて表立ってなびかない女の方を好んで嫁にしたかった…そういうこと…?なのか…。
なんか、悪趣味だ…少しばかり質が悪い… そんな気がしてくる…。
「…そう…でしたか…とにかく私はもう…この姿ではありますが、正真正銘、中身は男…なので…結婚とか…花嫁とか…そんなのは絶対に無理です。男と…男…ありえないでしょう…?だから…是非、フェイルあたりを…花嫁に迎えてあげてください…私はそれで全然構いませんので…ただ、それを伝えたくて…」
俺はウェンリーを真っすぐに見つめる。
「… ほう …」
最初の反応に戻るウェンリー。
でも、その後の奴の発言は、まあまあ、驚くものだった…。
「おまえはそういう考え…希望‥なのか…?」
ウェンリーがゆったりと腕を組む。
俺の中身がもはやリンスではなく、男だとわかった途端におまえ呼ばわりか…まあ、仕方ない。
「ふ…面白いな…。
でも私は…結婚申出を…取り下げるつもりはない…。むしろ余計に乗り気になった…。
俺になびかないふりをして俺に好意を寄せていたリンス…そのリンスの中身が…今…男だと…?さらに俺になびかないであろう、男…最高だ、面白過ぎる…。」
くくっ…
声を殺すようにして笑うウェンリー…
コイツ…
かなり…歪んだ性格をしている…?
…これは説得に、かなり時間がかかりそうだ…
俺はげんなりしながら奴を見上げた…
しばらくの間、沈黙してしまう…
俺の話を信じてくれただろうか…
仮に信じていたとしても、リンスの中身が…
つまり、俺が男だと聞いて…引いてしまったかもしれない…。
見た目がいくら超絶美少女だとしても…さすがに中身が元おとこになったって聞かされたら
引くわ…興ざめしたって、全くおかしくない…。
俺はゴクリとのどを鳴らしながら、奴の返事を待った。
「…それは本当の話…なのですか、リンスお嬢様…が、今は、さくらぎ、まなと…?貴女が男だと…」
「…はい、そうなんです、完全に男です…いや、…過去に、男でした。俺は多分、不慮の事故で死んでしまって…なんだかわけがわからないままに、この世界に転生し、この女の…いえ、このお嬢様の中に…まさに、今日起きたばかり…の話ですが…」
ああ…本当の話をし始めて、ところどころ「私」が、「俺」…になっちまう…
いや、そんなことを気にしている場合ではない…。
もはやすべて、ぶちまけてしまおう…俺はそう思った。
「そうか…それで…なるほど…なんだか、今日あなたにお会いした時から…違和感があったのですよ…何かが違うと…だってあなたはいつも…」
ウェンリーが、口を噤む。
ん… 俺? リンスがいつも… なんなんだ…?
「貴女はいつも、私を…情熱的な目で、見つめてきました…私に気がないふりをしながらも、完全に目で…私の姿を追ってきていた…。ふふ…」
ウェンリーが妖し気な表情で微笑む。
「フェイルお嬢様は大変わかりやすかったですが…リンスお嬢様は、その本心を隠しに隠し…周りにバレないように…私を密かに、慕っていたのだと思います…リンスお嬢様はフェイルお嬢様と違い、私に対して全くわかりやすいアピールはありませんでしたが… それが逆に…そそられて…」
そう言いつつ、クスクスと笑うウェンリー…
なんなんだ…この反応…。
「だから私は…リンス様をからかうのが楽しくて…無理をして私から目を背ける姿があまりに可愛らしくて…だからこそ、フェイルではなく彼女を…リンス様を花嫁に…したかったんです…そのほうが断然面白いので… 」
なるほど…自分に敢えて表立ってなびかない女の方を好んで嫁にしたかった…そういうこと…?なのか…。
なんか、悪趣味だ…少しばかり質が悪い… そんな気がしてくる…。
「…そう…でしたか…とにかく私はもう…この姿ではありますが、正真正銘、中身は男…なので…結婚とか…花嫁とか…そんなのは絶対に無理です。男と…男…ありえないでしょう…?だから…是非、フェイルあたりを…花嫁に迎えてあげてください…私はそれで全然構いませんので…ただ、それを伝えたくて…」
俺はウェンリーを真っすぐに見つめる。
「… ほう …」
最初の反応に戻るウェンリー。
でも、その後の奴の発言は、まあまあ、驚くものだった…。
「おまえはそういう考え…希望‥なのか…?」
ウェンリーがゆったりと腕を組む。
俺の中身がもはやリンスではなく、男だとわかった途端におまえ呼ばわりか…まあ、仕方ない。
「ふ…面白いな…。
でも私は…結婚申出を…取り下げるつもりはない…。むしろ余計に乗り気になった…。
俺になびかないふりをして俺に好意を寄せていたリンス…そのリンスの中身が…今…男だと…?さらに俺になびかないであろう、男…最高だ、面白過ぎる…。」
くくっ…
声を殺すようにして笑うウェンリー…
コイツ…
かなり…歪んだ性格をしている…?
…これは説得に、かなり時間がかかりそうだ…
俺はげんなりしながら奴を見上げた…
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