8 / 21
組織
1
しおりを挟む
「おはよう…」
最近、目覚めがすこぶる悪い…
立て続けに起きているあの事件のせいだ…
奴は、全くシッポを出さない…。
被害者に、特に共通点も見つからない…。
「あなた、おはよう…少し起きてくるの遅いけど、時間は大丈夫…?」
妻が珈琲をテーブルに運びながら俺を見る。
「ああ…」
俺はゆっくりと、椅子に座る。
「… 2日前に、また新たな遺体が発見され… …被害者の女性の身元が判明しました。被害者は28歳… … また、他の事件と同様、身体の一部が… … …」
「あら嫌だ…また~~?ねえ、あなた、まだ例の犯人捕まらないの…?もう10人目だって…嫌だ、怖いわ~
うちの近所ではないけど、このぺースだったら、もうどこであってもおかしくないんじゃないの…?ほんと、物騒な世の中…まだ被害者に、未成年がいないのが救いかしら…親御さんからしたらたまらないと思うわ、もしも子供に何かあったら…そういう意味では、私達にはいなくて良かったのかもしれないわね… ああ、それと… あなた… 土曜日の…」
「… … …」
出会った当初から…よくしゃべる、妻だった…。
互いの友人に紹介された時も、初対面にも関わらず自分からペラペラと話を振りつつ喋ってくれて…どちらかと言えば…いや、完全に引っ込み思案の俺にとっては、なんとも好ましい性格だと思った。
明るく社交的…小さなことは気にしない、おおらかな性格だ…。
対する俺は、神経質で内向的…
あまりにも対照的過ぎる俺たちが結婚するとはその時には全く予想しなかったと、随分後になって、その紹介してくれた友人に言われたほどだ。
「ねえあなた、聞いてるの…?」
「ああ…ごめん、なんだっけ…」
ハッとする…全く、後半の方は聞いていなかった…。
「もう…!土曜のミュージカルよ…今度こそ、行けるんでしょうねって、話…」
「土曜…ああ、ああ…行けると思うよ…楽しみだね…」
「ああ…!何着て行こうかしら…ランチのお店も探しておくわね?行ってみたいイタリアンのお店があるのよ~」
「うん…よろしく…」
仕事で疲れている日常…
妻のこの、底抜けの明るさに救われることも、多々ある…
それにしてもいい加減…何か手がかりが見つからないものか…
このままでは、被害者が増えていく一方だ…なんとかして歯止めを掛けねば…
「まずっ…」
俺は妻に聞こえないように小さく独り言をつぶやきながら、
愛情たっぷりの青汁だか、野菜スムージーだかを、口に含んだ…
最近、目覚めがすこぶる悪い…
立て続けに起きているあの事件のせいだ…
奴は、全くシッポを出さない…。
被害者に、特に共通点も見つからない…。
「あなた、おはよう…少し起きてくるの遅いけど、時間は大丈夫…?」
妻が珈琲をテーブルに運びながら俺を見る。
「ああ…」
俺はゆっくりと、椅子に座る。
「… 2日前に、また新たな遺体が発見され… …被害者の女性の身元が判明しました。被害者は28歳… … また、他の事件と同様、身体の一部が… … …」
「あら嫌だ…また~~?ねえ、あなた、まだ例の犯人捕まらないの…?もう10人目だって…嫌だ、怖いわ~
うちの近所ではないけど、このぺースだったら、もうどこであってもおかしくないんじゃないの…?ほんと、物騒な世の中…まだ被害者に、未成年がいないのが救いかしら…親御さんからしたらたまらないと思うわ、もしも子供に何かあったら…そういう意味では、私達にはいなくて良かったのかもしれないわね… ああ、それと… あなた… 土曜日の…」
「… … …」
出会った当初から…よくしゃべる、妻だった…。
互いの友人に紹介された時も、初対面にも関わらず自分からペラペラと話を振りつつ喋ってくれて…どちらかと言えば…いや、完全に引っ込み思案の俺にとっては、なんとも好ましい性格だと思った。
明るく社交的…小さなことは気にしない、おおらかな性格だ…。
対する俺は、神経質で内向的…
あまりにも対照的過ぎる俺たちが結婚するとはその時には全く予想しなかったと、随分後になって、その紹介してくれた友人に言われたほどだ。
「ねえあなた、聞いてるの…?」
「ああ…ごめん、なんだっけ…」
ハッとする…全く、後半の方は聞いていなかった…。
「もう…!土曜のミュージカルよ…今度こそ、行けるんでしょうねって、話…」
「土曜…ああ、ああ…行けると思うよ…楽しみだね…」
「ああ…!何着て行こうかしら…ランチのお店も探しておくわね?行ってみたいイタリアンのお店があるのよ~」
「うん…よろしく…」
仕事で疲れている日常…
妻のこの、底抜けの明るさに救われることも、多々ある…
それにしてもいい加減…何か手がかりが見つからないものか…
このままでは、被害者が増えていく一方だ…なんとかして歯止めを掛けねば…
「まずっ…」
俺は妻に聞こえないように小さく独り言をつぶやきながら、
愛情たっぷりの青汁だか、野菜スムージーだかを、口に含んだ…
0
ホラー・ミステリー小説大賞にエントリー中です。投票いただけると嬉しいです。
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
女子高生探偵:千影&柚葉
naomikoryo
ミステリー
【★◆毎朝6時更新◆★】名門・天野家の令嬢であり、剣道と合気道の達人——天野千影。
彼女が会長を務める「ミステリー研究会」は、単なる学園のクラブ活動では終わらなかった。
ある日、母の失踪に隠された謎を追う少女・相原美咲が、
不審な取引、隠された地下施設、そして国家規模の陰謀へとつながる"闇"を暴き出す。
次々と立ちはだかる謎と敵対者たち。
そして、それをすべて見下ろすように動く謎の存在——「先生」。
これは、千影が仲間とともに"答え"を求め、剣を抜く物語。
学園ミステリー×クライムサスペンス×アクションが交錯する、極上の戦いが今、始まる——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる