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~日常~
入室
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「ありがとうございました。」
バタン… …
静かに、車のドアが閉まる音…
二人並んで、夜の闇をタクシーが走り去るのをなんとなく、見送る。
目の前に、薄い青色の建物…
私がかつて、就職が決まった後に下見をして気に入ったものの、家賃が高くて諦めたマンション…
杉崎さんのマンションのエントランスを思わず無言で見上げる。
前に来たのはいつだっただろうか…
確か、杉崎さんの部屋に向かう途中…
エレベーター前でマンションの住民にじろじろと見られた記憶がある…。
きっと、あの時は比較されたに違いない…
こんな素敵な男性と、私が釣り合うはずがないのだから…。
拓海はいつも…
おまえは自己肯定感が低すぎる…
まあまあ可愛いんだから、俺みたいに少しは自信持てと笑っていたが、この気質は今もずっと変わらない…。
「さ… 行こうか… 」
「はい…」
声を掛けられてハッとする…。
拓海のことを考えるのはもうよそう…
もう終わったのだ…
これからは、杉崎さんのことだけを考えよう…そう思った。
二人並んで、エレベーターに乗り込む。
この間誰にも遭遇しなかったことに、自身が住んでいるマンションでもないのに何故だかホッとしてしまう自分がいる。
「… 部屋… 一応、簡単に片づけてはいるつもりだけど… 」
杉崎さんが、前を向いたままこちらを見ずに、ぼそりと呟く。
今日はなんだか、ずっとドキドキしている気がする…胸の鼓動が全く落ち着いてくれない…。
「すみません、お忙しい時に…恐縮です…。」私も前を向いたまま、答える。
「や…俺が誘ったんだし…ははっ…恐縮ですって…なんか、水無月さん、堅すぎ…」
杉崎さんがくすくすと笑う姿が、本当に可愛いと思ってしまう私はおかしいのだろうか…。
「…そうです、よね…私、堅すぎますよね…すみません… なんだか緊張…してきて…も少し、力、抜きます…」
しまったと思ったが、もう遅い…。
「… 緊張… ?」
「はい… 杉崎さんのお部屋に行くのって、久々ですし…少し…緊張…してます…」
「… そっか… でも、大丈夫…俺も…ちょっと緊張してるから…」
「えっ…?」
「…君を…自分の部屋に…俺の部屋に…迎え入れることに緊張… 今も、ね…」
「あ… … 」
「…だからまあ…一緒だよ…とりあえず、あったかい珈琲飲んで、話でもしよう…」
「はい…」
チンと、エレベーターが到着の音を知らせる…。
静かに、杉崎さんの後ろをついて行く…。
話…
杉崎さんの淹れてくれた珈琲を飲んで…本当に、話なんてできるだろうか…
とにかく、どうしよう…私は緊張し過ぎだ…
杉崎さんのことを…部屋にお邪魔することを…意識し過ぎて、頭がおかしくなりそうだ…。
「どうぞ…狭いけど…。」
杉崎さんがゆっくりとドアを開ける。
「…お邪魔します…」
バタン…
ドアが閉まった途端だった…
「あっ… … … 」
私は背後から突然、抱き寄せられた…。
バタン… …
静かに、車のドアが閉まる音…
二人並んで、夜の闇をタクシーが走り去るのをなんとなく、見送る。
目の前に、薄い青色の建物…
私がかつて、就職が決まった後に下見をして気に入ったものの、家賃が高くて諦めたマンション…
杉崎さんのマンションのエントランスを思わず無言で見上げる。
前に来たのはいつだっただろうか…
確か、杉崎さんの部屋に向かう途中…
エレベーター前でマンションの住民にじろじろと見られた記憶がある…。
きっと、あの時は比較されたに違いない…
こんな素敵な男性と、私が釣り合うはずがないのだから…。
拓海はいつも…
おまえは自己肯定感が低すぎる…
まあまあ可愛いんだから、俺みたいに少しは自信持てと笑っていたが、この気質は今もずっと変わらない…。
「さ… 行こうか… 」
「はい…」
声を掛けられてハッとする…。
拓海のことを考えるのはもうよそう…
もう終わったのだ…
これからは、杉崎さんのことだけを考えよう…そう思った。
二人並んで、エレベーターに乗り込む。
この間誰にも遭遇しなかったことに、自身が住んでいるマンションでもないのに何故だかホッとしてしまう自分がいる。
「… 部屋… 一応、簡単に片づけてはいるつもりだけど… 」
杉崎さんが、前を向いたままこちらを見ずに、ぼそりと呟く。
今日はなんだか、ずっとドキドキしている気がする…胸の鼓動が全く落ち着いてくれない…。
「すみません、お忙しい時に…恐縮です…。」私も前を向いたまま、答える。
「や…俺が誘ったんだし…ははっ…恐縮ですって…なんか、水無月さん、堅すぎ…」
杉崎さんがくすくすと笑う姿が、本当に可愛いと思ってしまう私はおかしいのだろうか…。
「…そうです、よね…私、堅すぎますよね…すみません… なんだか緊張…してきて…も少し、力、抜きます…」
しまったと思ったが、もう遅い…。
「… 緊張… ?」
「はい… 杉崎さんのお部屋に行くのって、久々ですし…少し…緊張…してます…」
「… そっか… でも、大丈夫…俺も…ちょっと緊張してるから…」
「えっ…?」
「…君を…自分の部屋に…俺の部屋に…迎え入れることに緊張… 今も、ね…」
「あ… … 」
「…だからまあ…一緒だよ…とりあえず、あったかい珈琲飲んで、話でもしよう…」
「はい…」
チンと、エレベーターが到着の音を知らせる…。
静かに、杉崎さんの後ろをついて行く…。
話…
杉崎さんの淹れてくれた珈琲を飲んで…本当に、話なんてできるだろうか…
とにかく、どうしよう…私は緊張し過ぎだ…
杉崎さんのことを…部屋にお邪魔することを…意識し過ぎて、頭がおかしくなりそうだ…。
「どうぞ…狭いけど…。」
杉崎さんがゆっくりとドアを開ける。
「…お邪魔します…」
バタン…
ドアが閉まった途端だった…
「あっ… … … 」
私は背後から突然、抱き寄せられた…。
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