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~拓海~

太陽

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「… はあ… 」 

今さらだな… 
何度ためいきをついたって、もう無駄だ…。

もはや、終わった…葉月とは終わったのだ。
俺があんなことをしたせいで…あんな、乱暴で…最悪なことを葉月にしてしまったせいで、俺と葉月の仲は…別れは決定的になった。
いや、そもそも俺があんな風になる前から…終わっていたのかもしれない…。

その証拠に、もうあの場所に…あの男が…杉崎が訪れていた…。

まさかと、思った…。
自身の眼を、疑った…。
既に、互いの家を行き来、しているのか…?していたのか…?

俺がいたあの場所に…俺が何度もくつろいだ葉月のあの部屋に…あの葉月の…葉月の匂いのする部屋に…俺が何度も葉月を抱いた、あのベッドの上に… 

葉月が… あの男が… ?

既にデキていたのか…?
それとも、これから…アイツとあの男は…

一体いつから…? 

いや…もはや、詳細など知りたくない。

知って、どうなる…。

知ったって、俺がこの先どんな態度を取ったって、事態はもはや好転しない…。
さらに、葉月の態度を硬化させるだけだ…

それだけは、悲しいほどにわかる。 

「 ちっ… 」

鍵を取り出し、ドアに手を伸ばす。
ガチャと、ドアを開ける…。

考えたくもない…。

考えたくもないのに、何度も何度も、想像してしまう…。

あの二人は、今頃… 

「たっくみ、くう~~んん!や~~っと、帰って来た!!待ってたよ~~」

「…う、 わ… …」

いきなり横からドアをつかまれ、驚くとともに、力なく横を見る…。

「…瑠衣… 」

「瑠衣ちゃんだよ~いれていれて、おかず、作り過ぎちゃったからさ、おすそわけ~」

太陽のような笑顔が、眩し過ぎて俺は思わず目を逸らす…。
瑠衣が太陽なら、葉月は…月だな…

駄目だ、また、あいつのことを考えてしまう…。


「や…今日はもう、飯、買ったからいいよ…」俺はなんとか言葉を返す。

「はあ~?何それ~。なんなら明日、食べてくれてもいいし、とりあえず入れて!帰るの待ってたんだからさっ!」

「… ん… ああ…部屋、片付いてないけど…  」

「いい、いいっ、いつもそんな片付いてないじゃん、ねね!」

一人は辛い…

そして、もはや葉月に隠しているという罪悪感など、さらさらない…。

今日は…このまま、この瑠衣の底抜けの明るさに甘えてしまおう…。

「そっか…そうだな…」

俺は頷き、両手にタッパ―を抱えた瑠衣を部屋に招き入れた。
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