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~智花〜

喉仏

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「あーー… まあ、彼女は…」

三橋君が、伸びをするようなポーズで、笑いながら私を見る。

「本命っちゃ、本命… 遊びっちゃ、遊び…みたいな…?」

「はあ…? なんなの、それ… 」

彼の回答に、くらくらしてくる…
いや…私がかなり酔っているせいだろうか…。

「や…まんまですよ、まんま…ていうか、遊びってのは説明として駄目か…一応、あの子が本命ですね、はい。」

「何…その適当な、感じ…あなたって…一体どういう神経…恋愛観…してるの…」

軽い男だということは初めからわかっていた…。
耳に光るピアスも着こなしも、その喋り方も…全てが、物語っている気がする…。

だけど…この男と真剣に付き合っている女からしたら、たまったもんじゃない…。

全ての女の敵…そう言えそうなタイプの、男だ…。

修哉さんとは、180度、違う…本当に真逆だ…。
あの男…もはや、瑠衣ちゃんとそういう関係にある拓海とも、違う…。

完全なる、遊び人…
弱っていた時期とはいえ、
つくづく、私はこんな男と関係を持ってしまったのかと、今更ながらにため息が出る。

「…少しだけ、いただくわ…」

三橋君の前と、私の前にグラスを置く。

「そうそう、飲みましょ飲みましょ!男にフラれた夜には、やっぱ、酒ですよ酒~やなことは忘れましょう」

「… ええ …」
何度も、何度も、人の心の傷をえぐってくる男…絶対に、わざとだ…。

もう飲めないと言っておきながら、美味しいワインと言われれば少しだけ飲んでみたい…
男の軽口を聞き流しならも、そんな気になってしまった…。

「さっきの話ですけど俺、もともと恋愛観とかないですよ…。そんなん、頭で考えたこともない。」

「え…」 

「とにかく、ガチガチの付き合いは無理なんですよ…重い女はマジ勘弁…まあ…本能で動くタイプって感じすかね…」

私がグラスに注いだ赤いワインを、一気に、喉に流し込む。

手が大きい…
ただでさえ華奢なグラスが、より一層、小さく見える…。

「… … …」

男がゴクゴクと液体を流し込む際の喉仏の動きに目を奪われて、

       私は思わず、視線を逸らした。



















































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