【続編 ほかに相手がいるのに】

～智花〜

孤独

「はあっ…　」

その日の夜…私は久々に自宅でお酒を飲んだ。
もう、3杯目…　　ああ…　ほんの少しだけ、気持ち良くなってきた…。

人と、外で飲むことは勿論あるけれど基本的に、一人、家でお酒を飲むことはしない…。
飲み会の雰囲気は好きだが、お酒自体、それほど好きではないのだ…。

結局、あれから、カフェに瑠衣を呼ぶことなどできなかった…。
三橋君が斜め後方にいたことに、あまりに驚き…なかば、放心状態で珈琲を飲んだ後、
コンビニに寄り…その後帰宅した後、お腹が空けば食べ、寝たり起きたりを繰り返している…。

「あはは…所詮、私は孤独…なんだわ…」ぼそりと…呟く…。

彼女を呼んで…
一体、何を相談できるというのだろう…。

彼氏にフラれた、辛い、話を聞いて欲しい…。
たとえばそんな風に彼女にすがっても、私の気持ちはきっと、楽にはならない…。

そもそも、話すことすら無理だ…
こんな場面で、他人に、頼ることが出来ない…。
聞くのは、得意なのに…　
なんで、自分自身は、吐き出せないのだろう…。

これまで、自分一人で解決してきた…。

仕事も、生活も…　
長女であるせいか、何か問題があっても、なんとか自分一人の力で解決してきた…。
人に弱みを見せることが嫌で…
私は一人でやれると…何でもないふりをして…スマートにふるまえるように、努力して…
これまで、やってきたつもりだ…。

だから、こんな時に…　誰にも、頼れない…　
失恋して辛いと…話をすることすら、できない…誰にもすがれない…。

拓海に聞いて驚いた二人の出張の話だって…
結局、彼に問いただすことなんて、できなかった…。

聞いたところで…帰ってくる返事に…その事実に…打ちのめされる気がして、怖かった…
結局、私は…彼を責めることも…別れるのは嫌だと、すがることも…　　

何一つ、できなかった…。