【完結(続編)ほかに相手がいるのに】

もえこ

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~変化~

幸福

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「… … 大丈夫… …?」

頭上から、彼の優しい声がする…。

「は…はい…」

横抱きにされたまま、杉崎さんの顔を見上げる…。

少し、乱れた髪… 杉崎さんの、肌の匂い…
その、全てが私を魅了する…  ああ… 

「ごめんね…途中から…ちょっと、激しかった…よね…」

「いえ…そんな…」

「…こんなのは初めてで…戸惑ってる… 」

「え… … 」

「…好きで…どうしようもないくらいに…その…君が可愛くて、仕方ない…だから、酷くして、ごめん… 」

私の髪を、何度も優しく撫でる杉崎さん…。

子供に戻ったような、気分だ… 
なんて、心地良いんだろう…。 

「…それは…私も、同じです… す…  す… 」

「… ん… ?」

「…す…好きです…私も… 杉崎さんのことが… 」

「… ん… 俺も… 」

「…あの…今、聞いていいのか、わかりませんが… 拓海は… あの後… 杉崎さんと、どんな話を… 」  

「… ああ… 彼… …」

「拓海…何か、失礼なこと…しませんでしたか…?もし…そうなら、本当に、ごめんなさい…」

「… 大丈夫… 俺がいるから…もう、彼のことは、一切、気にしなくていい…」

「でも… 拓海が… 」

「もう…君が…彼の名前を、そうやって呼ぶのも…あまり、聞きたく、ないかな…」

「 えっ…」
杉崎さんを見つめる…
少し、眉間にしわが寄っている…ような気がする…

「これからは…俺のことを…名前で…呼んで、欲しい… 修哉って、ね…」

「え… …」

名前で…? 修哉… 

修哉って… 私が…林さんのように、杉崎さんを、名前で…? 

想像しただけで…胸がドキドキしてくる…。

「ついでに…差し支えなければ…俺も、君のことを…名前で呼びたい…呼んで、みたい…」

「… 杉崎、さん …?」

少し、顔が…耳まで、赤くなっている杉崎さん… 
ああ…可愛い… 抱き締めたい…

胸が…じんと、熱くなる…。
なんて、可愛い男性なのだろう…。

「今まで…奴が…あの、彼が…君のことを、「葉月、葉月」って呼ぶたびに…多分少し…嫉妬してた…。」

「はい…」 じわりと、嬉しくなる…

「駄目かな…もちろん職場では絶対に名前で呼ばない…こうやって二人でいる時だけ…差支えなければ、で…」

ふわりと笑う杉崎さんの素敵な提案に…
どうやったら、異を唱えられるだろう…。 

「差支えなんて、ありません…呼んでください…名前で… 私も、そうします…」

「…本当…?良かった…じゃあ、早速、練習…」

「れ、練習…」

「葉月… 好き、だよ…  って…なんか普通に、照れるね… 」

「… … …」 葉月… 

杉崎さんが、今…  私を、葉月と呼んだ…
甘くて、セクシーな声…  

こんな声で…杉崎さんに名前を呼ばれるなんて、
最初に出会った時は思ってもいなかった…   

   ああ…  気持ちが溢れ出す…

「… 修哉さん…私も、好きです…大好き…」

私の言葉を受けて…綺麗な顔で笑う杉崎さんに、目を奪われる…。

「よく、できました…葉月…おいで…」
 
再び、ぎゅうと…、抱き締められた後…

「…あ…  また、… したくなってきた…ごめん、やっぱり、離れて…」
慌てて腰を引こうとする杉崎さんに、再び、胸が高鳴る…。

「…いや…です…私はまだ、離れたくない…修哉さんの…好きに…して…」

「…また、君は…そういうこと、さらっと言う… はぁ…じゃあ…今度は後ろから、…して、いい…?」

「後ろ…から…?…」  鼓動が、早くなる…

「そう…後ろ…ここから…いい…?」

杉崎さんの手が…私のお尻にチョンといたずらっ子のように、触れる…

「…はい…、お願いします…」

「お願い、しますって…  …  はあ…君って…」

四つん這いになってと言われた、あの夜…
不意に、出張の夜を思い出す…

その言葉だけで、ゾクゾクが止まらない…私はひょっとして…変態… …なのだろうか… 

「…従順、…なんだね…そのうち…俺、自分を制御できなくなって、本当にケダモノになるかも…いい…?」

「ケダモノ…?」

「そう…荒々しい、欲望だけの…ケダモノ…」
 
紳士ではなく、ケダモノな、杉崎さん…  それも素敵だと、思ってしまった…

ああ…恋は、盲目だ…

「…はい…私、杉崎さんになら…修哉さん…に、なら…何をされても平気です…だから…ケダモノOK、です」

私の真面目な気持ちだった…。 
ただ、ストレートに言い過ぎたかもしれないと、後になって思った…。

「…そ、う…ケダモノOK…か… って…、本当に意味、わかってる…?ああ …とにかく、おいで… もう一度、キス、したい… 」

グイと腕を引かれて…両頬を包まれる…。

「はい… あっ …んんっ … んぅっ… は、ぁン 」

唇を塞がれ…舌を絡められ…

彼の手が、静かに私のささやかな胸に、伸びてくる…指が先端に触れ、びくんと反応してしまう…
それだけで…彼に、求められることで…温かで…幸せな気持ちが、降り注ぐ…。

たとえ、彼氏がいても…彼女がいても… 
長い人生において…
その人以外の、人を好きになってしまうことは、きっと、あることだ…。

罪悪感に苛まれ… 
時に、恨まれ… 
色々、辛い時もあった…嫉妬に苦しむことも… 

だけど…   

だけど…気付いて、よかった…
諦めなくて、よかった… 
なにより…自分自身の気持ちに…嘘をつかなくて、良かった…。

杉崎さんが好き… 
もう、どうしようもないほどに…  

私はこれ以上ないほどに、幸せな気持ちに浸りながら…

   ゆっくりと、目を閉じた…。

      

           





             ~完~






  
 



 


 



























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