【完結(続編)ほかに相手がいるのに】

もえこ

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~杉崎~

告白

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俺が、彼女に一通り、智花との別れの話をし終えた後…

彼女は、とてもわかりやすく、静かになった…。

「…水無月さん…?…あの…大丈夫…?」

『…は、はい…』声が、緊張しているような…

「どうしたの…?もしかして、具合悪い…とか…?」

『あ…いえ…そんな、ことは……』

「…そう…?」

実は、前から…

俺には、気になっていることがある…。

はからずも…彼女に…あの男がしたことを知ってしまったあの日から…
あの、彼女の家を訪問したあの夜から… 

実は、ずっと気になっていた…。

彼女は… 彼女の体調は… 果たして、大丈夫なのだろうか… 

まさかとは思うが… あの一件で… 妊娠など… していないだろうかと…。

なぜなら、普通にあり得ることだと思うからだ…。

二人は、年齢も若い… 
もし、そういう時期なら… 
彼女が…そうされたであろう夜が…あの、出張から帰ったあの夜が…
もし、子供を授かりやすい時期、だったなら…

考えたくないことだが、

たとえ、たった一度でも…
まして、あの男が同じ夜に、何度も…彼女を抱いたと…するならば…

あり得る… 

 普通にあり得ることだと、思えてしまって…

ずっと、胸の奥に…ざわざわと…不安が、残っていた…。

だが、俺には彼女に正面切って、体調はどうかなどと、質問をすることが出来ない…。

彼女は、俺があの男からのメッセージを読んでしまったことを知らない…。

あの瞬間、彼女は完全にキッチンに向かっていた…。

だからこそ… そのことに…その内容に、俺の方からは触れることが出来ない… 

いっそ、あの夜… 間違って読んでしまった、ごめんと…言えていたならどれほどに良かっただろう…。

今は、そう、思っている…。

だが、今の俺の状況ではどうしようもない…俺は諦めの境地で、会話を終了させることにする。

「あの…突然、電話してごめん…声、聞けて良かったよ…じゃあ、また、月曜日に…」
そう言い掛けた瞬間…

『…あ、のっ…!杉崎さん…わ、私… 実は…』
彼女の声が、途端に大きくなった…。

「えっ… う、うん… 何…かな…?」
…まさか、俺の不安が…的中したのではないか…心がざわついて仕方ない…。

『あの…私、今日… 』

「…ん… 何… 」
怖すぎる… 

なんの、告白なんだ… まさか… 奴との子供を…身ごもってしまった…とでも…?

眩暈が、しそうだ… 

突如、このタイミングで… この、電話口で…彼女にそんなことを告白されれば… 
俺は、とても冷静に答えられる自信が、ない…
  
俺は、自身の早くなる鼓動をなんとか抑えようとしながら、

   携帯を、さらに耳に押し当てた…。

















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