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~杉崎~

選択肢

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「理由は…」

俺が、意を決して口を開こうとした瞬間、

「ズバリ…他に、好きな人が出来た…」智花が先に、口を開いた。

「… … …」

「もう少し進んで、既に、誰かとそんな関係になった…つまり、身体の関係ね…」

「… … …」

「もしくは…私を嫌いになった…ううん、言い方、極端過ぎるか…マイルドに言うと、最初から好きではなかった…いや、むしろこっちの方がキツイか…私的に。」

「… … …」

「さて…この選択肢から…最も、修哉さんの気持ちに近いものを選べ…」

「… … …」

「あ…ごめん…修哉さん、呆然としてる…せっかく自ら理由を言おうとしているところごめんね…私なりに、考えた予想がこれなの…まだあるけど…まあ、わかりやすく3つに分けるとこんな感じかな…」

「智花… …」

正直、智花の方からこのように俺の別れの理由を提示されるとは思っておらず、
頭の中を整理するのに手間取った…。

早く何か言わねば… そう思うのに、何も言葉が出てこない…。
それほどに… … 智花のこれは… 

「えっと…そうね…いきなりでびっくりしてるみたいだから、分かり易くまとめると…最初の、好きな人が出来たが1番、既に浮気が2番、私のことをそもそも好きではなかったが、3番ね…」

「智花… …」言葉が、出てこない…

「いや~~私的に、2番と3番は…かなりキツイっていうか…複雑な心境になりそうで、怖いな…2番なんてさ…真面目で誠実な修哉さんに限ってって、思っちゃうもん…あ~、私から聞いておいて、ドキドキする…」

正直、何も言えなくなった…。

なぜならこれは… この、たった今、智花が提示した、3つの選択肢は…  全てが、正解… 

そう、言えるからだ…。

俺は、酷い男だろうか…
自己分析をしてみても…やはり残酷といわれたのは、至極、正しいことのように思う…。

「ね…最後なんだから、正直に答えて欲しい… 修哉さん、…お願い… 」

「…り… 理由は… その中で言うと…」…全部だ… 完全に言い当てているのが、怖い…。

駄目だ…

声が震えてしまいそうになるのを、止めることが出来ない…。

だが、伝えるしかない…。

智花がこうやって提示してくれているのだ… 

もういっそ、正直に…全てが正解だと言ってしまおうか…人物については、一切触れずに…
いや、しかし…
2番と3番は、理由として挙げるべきでない気がする…智花を傷付けるのは間違いない。

だが…

そもそも、俺が用意していた理由… 仕事や家族の話をして…智花が納得するとは思えない…。

「理由は… … … 」 

  背中に、冷たい汗が伝う…。

       俺は観念して、口を開いた。




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