【完結(続編)ほかに相手がいるのに】

もえこ

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〜異変〜

色香

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「…じゃあ、… いこうか…」

杉崎さんが、真っ直ぐに私を見つめる。

「はい… … 」

私の頭の中で… 
さっきの杉崎さんの言葉が、何度も…何度も、再生される…。

明るい照明の下で… 

私を…  裸にして…  滅茶苦茶に… ?

確かに、そう言った… 
杉崎さんが私を、滅茶苦茶に…したいと…

「… … …」 体が熱い…

にわかに、信じられない気持ちがしてくる…。

少なくとも、普段はそんな過激な発言をしない杉崎さんが…今日に限って、こんな発言をするのは…
間違いなく、さっきの話のせいだ…。

「… おいで… … 」

「…きゃあっ… あ…   杉崎、さんっ… …」

「…なかなか水無月さんが前に進んでくれないから…時間オーバー。もう…連れてくね」

突然、身体が宙に浮いたたために…私は小さく悲鳴を上げてしまう…。

杉崎さんがひょいと膝裏から手を入れて私を軽々と抱き上げ…そのままの体勢で、私の顔をじっと見つめてくる…  

ああ…   

このシチュエーションは何…
とても、杉崎さんの顔を直視できない…
たまらずに声を出す…

「あっ… …あの…重いでしょうっ、…降ろして、ください…」

恥ずかしい…  

私は杉崎さんの逞しい腕の中で、小さく身じろぐ…。

「…ううん、全然…ていうか、ちゃんと食べないと駄目だよ… むしろ、軽すぎるくらいだ…」

「… 普通に… 食べてます… 」

「そう…?」
杉崎さんの綺麗な眼が、更に私をじっと見つめてきて…

もうすでに、顔が、熱い…
きっと、かなり顔が赤くなっているに違いない…。

そのまま…  

まさに、漫画やドラマなどで出てくるお姫様抱っこのような状態で、私はベッドまで運ばれてしまう…

「… さ、到着 … 」

杉崎さんに、耳元でそんな風に囁かれ、それだけでぞくりと、身体が震えた。

「… あ… 」

ゆっくりと、ベッドの上へ… 

まるで、大事な荷物を置くかのように優しく、私はシーツの上へ、寝かされる…。

「… … あ、… …」

杉崎さんはベッドの端へ立ったままの状態で、私を見下ろしていて…全身を観察されているような気分になり、羞恥心が、増す…

さきほどから、
私は杉崎さんとまともに、会話をしていない…

  あ、とか、う、とか…きゃ、とか…

発した言葉はほとんど、そんなものばかりで…

このような状況下…
何を言えば良いのか、わからない…

戸惑いの中、無言で杉崎さんを見上げていただけの私に、降ってきた言葉に…  

身体の奥が、  
  ズキンと、疼くような感覚を、覚える…

「始めようか…  
   今夜はセーブできないかも… 覚悟して… 」

杉崎さんが、シュルと…音を立てて…

信じられないほどの色香を漂わせながら、自身のネクタイを長い指でほどく…あまりに、セクシーな姿を…  

    私はぼうっと、見つめた。






 

 




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