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~密室~

演技

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「… … …」

しばらくの間、沈黙が続く…。

杉崎さんが不快な気持ちを抱いているのは、多分、確実だ…。

本来であれば…ごめんなさいと…言うべきなのかもしれない… 
でも…杉崎さんの正式な彼女でもない今の私の立場では…そんなことを言う資格すら、ないのかもしれない…

私はなんとか言葉を絞り出す。

「…あの…杉崎さん… … 」

「… あ… ごめん… ちょっとだけ、固まってた…」

「え… …」

「俺としたことが…ごめんごめん…」そう言って、いつもの笑顔を私に見せてくれる杉崎さん…。

「… …いえ … 」いつも冷静な杉崎さんを…こんな風にしたのは私だ…。

「はあ… なんか、ごめん… 」

杉崎さんが、自身の髪をサラリとかきあげながら、顔を上げた瞬間…

  ばちと… 正面から… 目が、合う… 

自ずと、鼓動が早くなる… 

「…ごめん、なんだか結局、しつこく聞いちゃって…恥ずかしいな…ごめんね水無月さん…嫌だったよね、俺の質問…これじゃあ完全にセクハラだ…本当に、申し訳ない…」

杉崎さんがすまなそうにする姿が、なんだかとても痛々しい…。

「いえ、そんな…セクハラだなんて…もともと、私が悪いんです…」思わずそんな言葉が口から出ていた…。

私は馬鹿だ…  
杉崎さんにこんな思いを…させるなんて…

いっそ、完璧な演技ができていればよかったのだ。

拓海とあんなことがあった後も… 

普通に出社して…
今まで通りに、杉崎さんに笑いかけ… 不自然に視線なんてそらさずに… 普通に過ごせていたら…

そうしたら、杉崎さんにこんな風に心配をかけずに済んだのに…。
そうしたら、こんなにも恥ずかしくて嫌なことを、杉崎さんに告白せずに済んだのに…。

私は、馬鹿だ…

馬鹿で、最低 … 対応が、まるで子供だ… 子供過ぎる…
本当に、自分という人間が嫌だ… 

そんな風に、いつもの自己嫌悪に陥りながらも、私はその後も、差しさわりのない言葉を続けることすらできずに、

「…あの…良かったら…珈琲のおかわりはいかがですか…?多めに、作ってしまって…」と…
やっとのことで、そう、口にした。

「…あ…じゃあ…もう一杯だけ…頂こうかな。ありがとう…」

杉崎さんが、何事もなかったかのように、私に微笑んでくれたので…

私はホッと胸を撫でおろしながら、ゆっくりと席を立ち、キッチンへ向かった…。

だけど… その後、…

私は、杉崎さんのいつもとは違う一面を、初めて…

    目の当たりにすることに、なった…。











 































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