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~誘い~

深掘り

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「…ご心配おかけしてすみませんでした…でも、私はその、大丈夫ですから… 」
杉崎さんの視線から、また…目を逸らしてしまう自分が、なんだか不甲斐ない…。

「… … …」

初めての感情…

いまだ、無言のままの杉崎さんを、ほんの少しだけ、怖いと思った…
何を考えているのかわからない…。

どうして、何も言ってくれないのだろう…。

「あの …杉崎さん…?」

「… … 話は、わかったよ… それで…?  …」

「え… … …あの … 」 

   それで…の…意味が、わからない…

もう、これで話を終わらせたかった… 
細かな部分についてまで…説明をしたくなかった…。

なのに、杉崎さんは、私のその希望的な観測に反して、こんなことを口にした。

「…それで彼は…あの夜…君の家に…上がったの…?」

「… え… ?」 

私の心に、静かに… 動揺が走る。

「…やっぱり泊った…?君に別れ話をされてただでさえ面白くないというか、怒った状態の彼に…今夜は泊まらずに帰ってとはなかなか…特に、水無月さんの性格だったら、言えないように、思うんだけど…」

「… あ… あの… 」

なんと返すべきか… 

でも、杉崎さんに対して、おかしな嘘なんて、つけない…。

「ひょっとしてこれは、ダメな質問…なのかな…?」

「 …っ… 」

にこりともしていない杉崎さんの初めて見せる表情に、私は思わず、息を飲む…。

      意外だった…。

杉崎さんだったら、きっとそこまでは、聞いてこないだろう…  深掘りはされないだろう…

そう思っていた…
そう、決めつけてしまっていた私の心は、ぐらぐらと所在なく揺れ始める…。
もう、答えるしかない…私は意を決して口を開く。

「あの…拓海は、家に泊まりました…その、杉崎さんの仰るように、あの状況で、帰れとは言えなくて…」

 … そんな風に、なんとか答えると

「… そう…か…  」

杉崎さんは、ただ一言だけ、そう、言った…。

その、杉崎さんの表情が悲しげで…
それと同時に、ほんの少しだけ、怖い気がして…

  私はその後、なにも言えなくなった…。







 


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