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~拓海~
疑惑
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「はあっ… … … 」
気付けば、ため息をついていることに気付く。
「… … 葉月 … …」
誰もいない部屋で…
ぼそりと、その名前を口にする…。
「ああ… 俺は… … … 」
気付けば…自宅。
あれから、どうやってここまで帰ったのか、わからない… あまり、覚えていない…
「なんで… 葉月、 俺… ああ… 」
駄目だ… …
いつになく、独り言が止まらない…。
俺は… 葉月に、…
何、を… なんてことを… …。
ずっと…
葉月が嫌だと言っていたことを…
嫌がっていた行為を… 俺は、葉月にしてしまった…
泣きそうな顔をしながら…
いや…もはや、泣いていたのかもしれない…
必死に、俺の動きに抵抗しようと伸びてきた葉月の白い細腕を…身体を、男の力で押さえつけて…
震えながらも閉じようとする白くて華奢な脚を、力任せに開いて…俺は、葉月の中に、無理矢理に押し入り…
自分本位に…葉月を突き上げ、激しくせめたてた…
これまでどんなに俺が、葉月に、そう…したいと、頼んでも…
万が一そうなったとしても、俺は絶対に責任取るし…そもそも、一回くらい大丈夫だよと、笑って口にしても…
葉月は、うんとは一度も、言わなかった。
そんな、無責任なことは絶対にできないと葉月の態度はいつも一貫していた。
そんなことを…
いまだ、恋人同士でしかない立場の俺たちが、簡単な気持ちでしては駄目だと…
結婚しているわけでもないのに、赤ちゃんができたらどうするんだと…
甘い言葉を、その場の雰囲気で吐き出してしまう俺に向かって…真剣な表情で、俺に説明してくる真っ直ぐな葉月…
俺は毎回、葉月の…その、あまりにも葉月らしい真面目な言葉で、我に返り…
確かにそうだなと自分自身も納得し…確実に避妊をしてきた…
なのに… …
なんで、俺は…
「マジ、さい…ってい、だな…」
今言っても全く意味のない言葉を、吐き捨てる…
言い訳なんて、もはや…
今の俺にはすることすらできないが…
あの夜の俺は… どうか、していた…
葉月を誰にも渡したくなかった…
葉月を、俺だけのものに、したかった…
葉月に、あの言葉を…
別れの言葉を告げられて…
きっと、自分で思う以上に…気が動転していたに、違いない…
葉月と俺の付き合いは…学生の頃からだ…
途切れることもなく、何年も付き合ってきて…あいつのことは、葉月のことは、俺がなんだって知ってる…
あいつのことならなんだって、わかっているはず、なんだ…
葉月の優しいところも…
少し、不器用なところも…
要領が悪くて、損することが多い性格も…
引っ込み思案なくせに、時々大胆な行動に出るところも…
自分のことではなく、人のことでいきなり怒るところも…
あいつの全てを… 俺は…
葉月の良いところも、悪いところも、全部、俺が全部、わかっているはずなのに…。
なんで… 葉月が俺に、別れを告げてきた…?
そもそもなんで、こんなことになったんだ…
葉月が、変わった…
変わって、しまった…
「… … …」
俺の頭の中に、何度も、否応なく浮かび上がっては消えていく、あの男…
「杉崎……」
葉月は、あの日…
俺が眠ったままの葉月にキスをしている最中、確かに、奴の名を口にした…
どことなく、甘ったるい声で…
目を閉じてはいたが、あまりにも、色っぽい表情で…
「… あいつ、なのか…?」
まさか、だよな…
あんな一回りも歳の離れた…男が…まさか… まさか…
まさか、あの男が葉月をたぶらかしたのか…?
俺はギリリと、唇を噛み締めた。
気付けば、ため息をついていることに気付く。
「… … 葉月 … …」
誰もいない部屋で…
ぼそりと、その名前を口にする…。
「ああ… 俺は… … … 」
気付けば…自宅。
あれから、どうやってここまで帰ったのか、わからない… あまり、覚えていない…
「なんで… 葉月、 俺… ああ… 」
駄目だ… …
いつになく、独り言が止まらない…。
俺は… 葉月に、…
何、を… なんてことを… …。
ずっと…
葉月が嫌だと言っていたことを…
嫌がっていた行為を… 俺は、葉月にしてしまった…
泣きそうな顔をしながら…
いや…もはや、泣いていたのかもしれない…
必死に、俺の動きに抵抗しようと伸びてきた葉月の白い細腕を…身体を、男の力で押さえつけて…
震えながらも閉じようとする白くて華奢な脚を、力任せに開いて…俺は、葉月の中に、無理矢理に押し入り…
自分本位に…葉月を突き上げ、激しくせめたてた…
これまでどんなに俺が、葉月に、そう…したいと、頼んでも…
万が一そうなったとしても、俺は絶対に責任取るし…そもそも、一回くらい大丈夫だよと、笑って口にしても…
葉月は、うんとは一度も、言わなかった。
そんな、無責任なことは絶対にできないと葉月の態度はいつも一貫していた。
そんなことを…
いまだ、恋人同士でしかない立場の俺たちが、簡単な気持ちでしては駄目だと…
結婚しているわけでもないのに、赤ちゃんができたらどうするんだと…
甘い言葉を、その場の雰囲気で吐き出してしまう俺に向かって…真剣な表情で、俺に説明してくる真っ直ぐな葉月…
俺は毎回、葉月の…その、あまりにも葉月らしい真面目な言葉で、我に返り…
確かにそうだなと自分自身も納得し…確実に避妊をしてきた…
なのに… …
なんで、俺は…
「マジ、さい…ってい、だな…」
今言っても全く意味のない言葉を、吐き捨てる…
言い訳なんて、もはや…
今の俺にはすることすらできないが…
あの夜の俺は… どうか、していた…
葉月を誰にも渡したくなかった…
葉月を、俺だけのものに、したかった…
葉月に、あの言葉を…
別れの言葉を告げられて…
きっと、自分で思う以上に…気が動転していたに、違いない…
葉月と俺の付き合いは…学生の頃からだ…
途切れることもなく、何年も付き合ってきて…あいつのことは、葉月のことは、俺がなんだって知ってる…
あいつのことならなんだって、わかっているはず、なんだ…
葉月の優しいところも…
少し、不器用なところも…
要領が悪くて、損することが多い性格も…
引っ込み思案なくせに、時々大胆な行動に出るところも…
自分のことではなく、人のことでいきなり怒るところも…
あいつの全てを… 俺は…
葉月の良いところも、悪いところも、全部、俺が全部、わかっているはずなのに…。
なんで… 葉月が俺に、別れを告げてきた…?
そもそもなんで、こんなことになったんだ…
葉月が、変わった…
変わって、しまった…
「… … …」
俺の頭の中に、何度も、否応なく浮かび上がっては消えていく、あの男…
「杉崎……」
葉月は、あの日…
俺が眠ったままの葉月にキスをしている最中、確かに、奴の名を口にした…
どことなく、甘ったるい声で…
目を閉じてはいたが、あまりにも、色っぽい表情で…
「… あいつ、なのか…?」
まさか、だよな…
あんな一回りも歳の離れた…男が…まさか… まさか…
まさか、あの男が葉月をたぶらかしたのか…?
俺はギリリと、唇を噛み締めた。
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