20 / 224
~帰路~
廊下
しおりを挟む
「ん… んうっ… た、くっ… 離し、… んんっ…」
玄関前の、狭い廊下…
何度も拓海の腕の中から逃れようと身をよじるが、あまりに力の差がありすぎる…。
くちゅ… ちゅ…
拓海は私が抵抗している様子に構わず、何度も舌を差し入れてくる…。
「ん ぅ … んっ 」
熱い舌…
逃げても、執拗においかけてきて、私の舌に絡んでくる…
だめ… もう、嫌、だ…
なぜなんだろう…
私の心の中に…
今まで感じたことがない…どうしようもないくらいに暗い…負の感情が渦巻き始める…。
前まではそんなに…
嫌ではなかった気がするのに…。
拓海のキスだって、嫌じゃなかった…
抱き締められるのだって、嫌じゃなかった…。
セックスだって…
多少の…不満はあっても、すること自体、そこまで嫌ではなかった…
遠距離恋愛だからこそ…
私にだって、そういうことがしたくなる時だって、あった…。
でも、なぜか今は… 離れたくなる…
この逞しい身体を、自分の身体からただちに引き離したくなる…。
したくない…
拓海とそういうことを、もう…したくない…
その一心で、次の瞬間、両手に力を込めて、思い切り拓海の身体を引き離す…。
「やっ… やめて… 拓海っ… 私、もう…」 …無理だから…
その言葉を続けることができない…
驚く拓海の表情が目に入り、ズキンと胸が疼くような感覚を覚える。
「… っち… な、んだよ… 葉月…おまえさ…、なんなんだよ…マジで… 」
拓海があからさまに不機嫌な顔をして私を見下ろし、あまりにもわかりやすく舌打ちをする…。
拓海が、赤の他人に対してイライラした時に…たまにその人に見えないところで舌打ちをすることはあっても…
私に対して、こんな風に舌打ちするのは初めてかもしれない…
そんな、今本当にどうでもいいことを…頭の隅で考えてしまう自分がいる…。
「… ごめん… でも、…やめて… 」拓海を見上げる…。
充血したような目…
眉間に、深いしわが刻まれている…。
怒っている…私がいつになく抵抗したことで、頭に来ているのは確実だ…。
「… はあ… … ごめん、ごめんってさ…おまえ、今日会ってからそればっか…」
「… (ごめん…)… …」
また、同じように謝罪の言葉が口から飛び出そうになり、私は押し黙る…。
「も、…いい… とりあえず…とにかく、風呂…入らせて…すげえ疲れた…」
拓海がゆっくりと…いつものソファーの定位置に腰をおろす。
「 … うん…ちょっと、待ってて… 」
なんとか、やめてくれた…
拓海が項垂れて、目を閉じる様子に内心ほっとしながらも…その態度は出さずに、
私はすぐさま浴室へ向かった…。
玄関前の、狭い廊下…
何度も拓海の腕の中から逃れようと身をよじるが、あまりに力の差がありすぎる…。
くちゅ… ちゅ…
拓海は私が抵抗している様子に構わず、何度も舌を差し入れてくる…。
「ん ぅ … んっ 」
熱い舌…
逃げても、執拗においかけてきて、私の舌に絡んでくる…
だめ… もう、嫌、だ…
なぜなんだろう…
私の心の中に…
今まで感じたことがない…どうしようもないくらいに暗い…負の感情が渦巻き始める…。
前まではそんなに…
嫌ではなかった気がするのに…。
拓海のキスだって、嫌じゃなかった…
抱き締められるのだって、嫌じゃなかった…。
セックスだって…
多少の…不満はあっても、すること自体、そこまで嫌ではなかった…
遠距離恋愛だからこそ…
私にだって、そういうことがしたくなる時だって、あった…。
でも、なぜか今は… 離れたくなる…
この逞しい身体を、自分の身体からただちに引き離したくなる…。
したくない…
拓海とそういうことを、もう…したくない…
その一心で、次の瞬間、両手に力を込めて、思い切り拓海の身体を引き離す…。
「やっ… やめて… 拓海っ… 私、もう…」 …無理だから…
その言葉を続けることができない…
驚く拓海の表情が目に入り、ズキンと胸が疼くような感覚を覚える。
「… っち… な、んだよ… 葉月…おまえさ…、なんなんだよ…マジで… 」
拓海があからさまに不機嫌な顔をして私を見下ろし、あまりにもわかりやすく舌打ちをする…。
拓海が、赤の他人に対してイライラした時に…たまにその人に見えないところで舌打ちをすることはあっても…
私に対して、こんな風に舌打ちするのは初めてかもしれない…
そんな、今本当にどうでもいいことを…頭の隅で考えてしまう自分がいる…。
「… ごめん… でも、…やめて… 」拓海を見上げる…。
充血したような目…
眉間に、深いしわが刻まれている…。
怒っている…私がいつになく抵抗したことで、頭に来ているのは確実だ…。
「… はあ… … ごめん、ごめんってさ…おまえ、今日会ってからそればっか…」
「… (ごめん…)… …」
また、同じように謝罪の言葉が口から飛び出そうになり、私は押し黙る…。
「も、…いい… とりあえず…とにかく、風呂…入らせて…すげえ疲れた…」
拓海がゆっくりと…いつものソファーの定位置に腰をおろす。
「 … うん…ちょっと、待ってて… 」
なんとか、やめてくれた…
拓海が項垂れて、目を閉じる様子に内心ほっとしながらも…その態度は出さずに、
私はすぐさま浴室へ向かった…。
0
お気に入りに追加
95
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
抱きたい・・・急に意欲的になる旦那をベッドの上で指導していたのは親友だった!?裏切りには裏切りを
白崎アイド
大衆娯楽
旦那の抱き方がいまいち下手で困っていると、親友に打ち明けた。
「そのうちうまくなるよ」と、親友が親身に悩みを聞いてくれたことで、私の気持ちは軽くなった。
しかし、その後の裏切り行為に怒りがこみ上げてきた私は、裏切りで仕返しをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる