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~彼氏~
荷物
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「… … …」
「… … …」
私と杉崎さんはその後、始終無言のまま…たくさんの人が集まる手荷物預かり所に到着した。
乗客がベルトコンベアーの前で、思い思いに話をしながら、自分の手荷物が回ってくるのを待っている…。
「…まだ、みたいだね… 」
ぼそりと、杉崎さんの呟きのような声が聞こえた。
「…えっ…?」
杉崎さんの声に、私はおもむろに、杉崎さんの方を見上げる。
杉崎さんが私を見下ろし、そっと微笑むその表情にドキリとした…。
昨夜の…
あの時の情景を、思い出してしまう…
いつも優しくて紳士な杉崎さんが…
途中から…いつもと違う…男らしい…猛々しい雄に、変貌した…。
激しく…時に…甘く、揺さぶられて…たまらなくなった…。
私の中に入った時の…杉崎さんの眉根を寄せた、少し苦し気な顔も…時折見せる優しい表情も…
目に、焼き付いている…
杉崎さんに抱き締められ… 何度も、深いキスをされ…
何度も、中を…強弱をつけて、えぐるように貫かれて…
私は何度… 耐えたか… 何度…私は…
ああ…駄目だ…
また、昨夜の淫らな行為を思い出しそうになるのを、無理矢理に頭の中から追い出す。
私はなんて…淫乱な女なのだろう…いやらしくて、最低だ…。
今から、拓海と会うというこの状況で…
なんで、私は…こんなにも、この人に…
杉崎さんに、とらわれてしまうのだろう…
杉崎さんが無言のままでいる私の顔を見て、慌てたように言葉を補う…。
「いや…あの、荷物、まだ回ってないなって…思って…どうやらまだ、一つも来てないみたいだね… 」
ふと見ると、ベルトコンベアーは確かにまだ、動き出してすらいなかった。
「そ…そう、ですね… 最後にゆっくり出て来て…ちょうど良かったですね…」
「うん…」
「… … … 」
今…杉崎さんと何を話していいのかわからない…
差しさわりのない話題が、何一つ、頭に浮かんでこない…
周りのざわざわした声に反して、私と杉崎さんの周りには静かな空気が漂っている…
沈黙に耐え切れず、私は遂に無理矢理に、会話を絞り出す…。
「あの…杉崎さん、出張…色々とお世話になりました…すごく、勉強になりました。」
「…うん…いや、全然…俺、お世話なんてしてないよ…水無月さんは俺が言う前からよく、動いてくれたし…こちらこそ、ありがとう…お疲れ様…」
「はい…」
そこですぐに、会話が終了してしまった…。
違う…
こんなことを、話したいわけじゃない…
出張がどうとか、仕事がどうとか関係ない…
私はあなたが、好きです。
言いたいのは…ただ、それだけだ…
だけどそんなことを今、言えるはずもない…
私はそのまま沈黙し、ぼうっとベルトコンベアーを見つめる…。
… ウィン…
音を立てて… やっと、コンベアーが動き始めた…
辺りにいた乗客が一斉にその先を見た、瞬間…
「あっ… … 」
ビクンと、身体が震えた…。
温かな、感触…
私の手に…
杉崎さんの手が、触れて… ゆっくりと、長い指を絡められる…。
ハッとして、周りを見るが…最後に機体から降りてきたこともあってか、背後には誰もいない…
それでも、どうしても人目が気になってしまう私は…静かに身じろぎをする…
およそ、杉崎さんらしくない…行動…
こんな場所で、いきなり…どうしたんだろう…
「… …すぎ、さき …さん… ?」
「…ごめんね、もう…少しだけ… … 」
「… … …」
私はこの手を…振りほどけない…
違う…
振りほどきたくは、ない…んだ…
私は静かに頷き、
再び、ベルトコンベアーに視線を戻した…。
「… … …」
私と杉崎さんはその後、始終無言のまま…たくさんの人が集まる手荷物預かり所に到着した。
乗客がベルトコンベアーの前で、思い思いに話をしながら、自分の手荷物が回ってくるのを待っている…。
「…まだ、みたいだね… 」
ぼそりと、杉崎さんの呟きのような声が聞こえた。
「…えっ…?」
杉崎さんの声に、私はおもむろに、杉崎さんの方を見上げる。
杉崎さんが私を見下ろし、そっと微笑むその表情にドキリとした…。
昨夜の…
あの時の情景を、思い出してしまう…
いつも優しくて紳士な杉崎さんが…
途中から…いつもと違う…男らしい…猛々しい雄に、変貌した…。
激しく…時に…甘く、揺さぶられて…たまらなくなった…。
私の中に入った時の…杉崎さんの眉根を寄せた、少し苦し気な顔も…時折見せる優しい表情も…
目に、焼き付いている…
杉崎さんに抱き締められ… 何度も、深いキスをされ…
何度も、中を…強弱をつけて、えぐるように貫かれて…
私は何度… 耐えたか… 何度…私は…
ああ…駄目だ…
また、昨夜の淫らな行為を思い出しそうになるのを、無理矢理に頭の中から追い出す。
私はなんて…淫乱な女なのだろう…いやらしくて、最低だ…。
今から、拓海と会うというこの状況で…
なんで、私は…こんなにも、この人に…
杉崎さんに、とらわれてしまうのだろう…
杉崎さんが無言のままでいる私の顔を見て、慌てたように言葉を補う…。
「いや…あの、荷物、まだ回ってないなって…思って…どうやらまだ、一つも来てないみたいだね… 」
ふと見ると、ベルトコンベアーは確かにまだ、動き出してすらいなかった。
「そ…そう、ですね… 最後にゆっくり出て来て…ちょうど良かったですね…」
「うん…」
「… … … 」
今…杉崎さんと何を話していいのかわからない…
差しさわりのない話題が、何一つ、頭に浮かんでこない…
周りのざわざわした声に反して、私と杉崎さんの周りには静かな空気が漂っている…
沈黙に耐え切れず、私は遂に無理矢理に、会話を絞り出す…。
「あの…杉崎さん、出張…色々とお世話になりました…すごく、勉強になりました。」
「…うん…いや、全然…俺、お世話なんてしてないよ…水無月さんは俺が言う前からよく、動いてくれたし…こちらこそ、ありがとう…お疲れ様…」
「はい…」
そこですぐに、会話が終了してしまった…。
違う…
こんなことを、話したいわけじゃない…
出張がどうとか、仕事がどうとか関係ない…
私はあなたが、好きです。
言いたいのは…ただ、それだけだ…
だけどそんなことを今、言えるはずもない…
私はそのまま沈黙し、ぼうっとベルトコンベアーを見つめる…。
… ウィン…
音を立てて… やっと、コンベアーが動き始めた…
辺りにいた乗客が一斉にその先を見た、瞬間…
「あっ… … 」
ビクンと、身体が震えた…。
温かな、感触…
私の手に…
杉崎さんの手が、触れて… ゆっくりと、長い指を絡められる…。
ハッとして、周りを見るが…最後に機体から降りてきたこともあってか、背後には誰もいない…
それでも、どうしても人目が気になってしまう私は…静かに身じろぎをする…
およそ、杉崎さんらしくない…行動…
こんな場所で、いきなり…どうしたんだろう…
「… …すぎ、さき …さん… ?」
「…ごめんね、もう…少しだけ… … 」
「… … …」
私はこの手を…振りほどけない…
違う…
振りほどきたくは、ない…んだ…
私は静かに頷き、
再び、ベルトコンベアーに視線を戻した…。
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