【R18】弟くんの猛進

もえこ

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「美弥!ごめん、待って…そんなこと、言いたかったわけじゃない、…とにかく俺は…兄貴に美弥を渡しなくない…だからまだ、結婚だけはやめて欲しい…本当に…届かなくなる…から…。
俺にも、チャンスが…欲しいんだ…」

「…もう、行くね…これだけは聞いて…」
私はもう一度椅子に座り直し、真っ直ぐに計人君を見据える。

「あの夜のことは完全に忘れて。私も全部忘れるから…隆仁さんには絶対に言わないで…。私も言う気、ないから…それだけ、お願い…」

「… … …」

私は返事をするでもなく無言のままの計人くんを残して、喫茶店を去った。

これでいい…

隆仁さんには死んでも言わない…
全て、黙ったまま、墓場まで持っていく…
私が隆仁さんの立場なら…絶対に聞きたくない内容だ…軽蔑されてもおかしくない…秘密なんて作りたくはないけど…このことだけは…彼に、絶対に報告なんて、できない…

そう、思っていたけど
ことはうまく、運ばない…ものだ…

私は後日、
   そんなふうに思うようになった…
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