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それから数日が経過した。
やっと…私の身体から、計人くんが残した紅いあざが消えかけた頃、出張先の隆仁さんから連絡があった。
しばらくはお互いにタイミングが合わずラインで連絡を取り合っていたのだけど、
その日は珍しく、夜に電話がなった。
『美弥…電話は久々だな…元気にしてるか…?』隆仁さんの優しい声が、受話器の向こうから聞こえる。
『うん…隆仁さん、私は元気だよ…隆仁さんは元気…?仕事の方は、落ち着いた…?』
本当は元気なんかじゃなかった…。
計人くんとあんなことになってから、食欲も落ち…最近実はあまり眠れていない…体重も2~3キロ、落ちたかもしれない…。
『ああ…こっちは成功…大きな商談が、もうすぐ成立しそうなんだ…。それが片付けばやっとそっちに帰れる…帰ったら美弥を…思い切り抱き締めたい…早く、会いたいな…。』最後の方はまるで、独り言のように呟く隆仁さん。
私も会いたい… でも…
私は…計人くんに抱かれてしまった…。
あなたの可愛い弟だよ…私にとっても可愛い義弟になるはずの男の子…だったのに…。
こんな身体で…隆仁さんに今まで通りに会って、何を話せばよいのか…身を委ねていいのか、わからなくなる…。
『そうだね…私も…早く…会い…っ…う…』思わず泣きそうになり…言葉が途切れる…。
『…!?どうした、美弥…?そっちでなんかあったのか…?美弥…どうした…?』
心配そうに慌てた様子で尋ねてくる、優しい隆仁さん…。
ダメだ…今、簡単に電話で話せることでもないし、…もしかしたら、一生話さない可能性だってある…。
隆仁さんに、今は心配をかけてはだめだ、うまく誤魔化さなければ…。
『ごめん…っ。ちょっとジュース飲んでて、むせちゃった…も、大丈夫…とにかく早く会いたい…私も…。』
『…そっか…びっくりした…何かあったのかと思ったよ…悩みがあるならなんでも言えよ…。じゃあ…今日は遅いからもう切るな…おやすみ、美弥…』そう言って、電話が切れる。
悩みならある…でも、絶対にあなたには言えない…
かといって、親しい友人にも言えない…私は結婚を控えている身…親にも絶対に、言えない…
誰に相談したらよいかわからない…
もう、何もわからない… ぐるぐるとまわる頭を抱えながら、私は布団に突っ伏した…。
一番わからなかったのは、自分自身だ…。
あんなことをされておいて…
あんな風に、無理矢理に、強引に…私の身体を押し開いて…まるで嵐のように私の内部を滅茶苦茶にして…辱めるようにして、抱かれた…のに…
まだ私は、計人くんを、嫌いになれない…。
子供の頃からどうしようもなく可愛かった計人君が、信じられないほどに大人の男になって、…あんなことを私に…した…
その事実があるのに…どうしても、嫌いになれない…憎めない…。
これから、どうしよう…
私さえ、口をつぐめば、何事もなかったように…隆仁さんと結婚することが出来るだろうか…
計人くんは今、何を考えているのだろう…話がしたい…いや、したくない…わからない…。
私は携帯を放り投げ、混乱する頭を抱えながらベッドに身を委ねた…。
やっと…私の身体から、計人くんが残した紅いあざが消えかけた頃、出張先の隆仁さんから連絡があった。
しばらくはお互いにタイミングが合わずラインで連絡を取り合っていたのだけど、
その日は珍しく、夜に電話がなった。
『美弥…電話は久々だな…元気にしてるか…?』隆仁さんの優しい声が、受話器の向こうから聞こえる。
『うん…隆仁さん、私は元気だよ…隆仁さんは元気…?仕事の方は、落ち着いた…?』
本当は元気なんかじゃなかった…。
計人くんとあんなことになってから、食欲も落ち…最近実はあまり眠れていない…体重も2~3キロ、落ちたかもしれない…。
『ああ…こっちは成功…大きな商談が、もうすぐ成立しそうなんだ…。それが片付けばやっとそっちに帰れる…帰ったら美弥を…思い切り抱き締めたい…早く、会いたいな…。』最後の方はまるで、独り言のように呟く隆仁さん。
私も会いたい… でも…
私は…計人くんに抱かれてしまった…。
あなたの可愛い弟だよ…私にとっても可愛い義弟になるはずの男の子…だったのに…。
こんな身体で…隆仁さんに今まで通りに会って、何を話せばよいのか…身を委ねていいのか、わからなくなる…。
『そうだね…私も…早く…会い…っ…う…』思わず泣きそうになり…言葉が途切れる…。
『…!?どうした、美弥…?そっちでなんかあったのか…?美弥…どうした…?』
心配そうに慌てた様子で尋ねてくる、優しい隆仁さん…。
ダメだ…今、簡単に電話で話せることでもないし、…もしかしたら、一生話さない可能性だってある…。
隆仁さんに、今は心配をかけてはだめだ、うまく誤魔化さなければ…。
『ごめん…っ。ちょっとジュース飲んでて、むせちゃった…も、大丈夫…とにかく早く会いたい…私も…。』
『…そっか…びっくりした…何かあったのかと思ったよ…悩みがあるならなんでも言えよ…。じゃあ…今日は遅いからもう切るな…おやすみ、美弥…』そう言って、電話が切れる。
悩みならある…でも、絶対にあなたには言えない…
かといって、親しい友人にも言えない…私は結婚を控えている身…親にも絶対に、言えない…
誰に相談したらよいかわからない…
もう、何もわからない… ぐるぐるとまわる頭を抱えながら、私は布団に突っ伏した…。
一番わからなかったのは、自分自身だ…。
あんなことをされておいて…
あんな風に、無理矢理に、強引に…私の身体を押し開いて…まるで嵐のように私の内部を滅茶苦茶にして…辱めるようにして、抱かれた…のに…
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