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「おっはよう、美弥…」
背後から、勢いよく肩を叩かれる。
「んわ!…ああ…おは…おはよう、…咲…」
同僚の藤井咲だった。
同期で入社当時からなんとなくウマが合い配属部署は違うものの、仲良くしていた。
明るい性格で何事に対しても常にポジティブ。
いつもクヨクヨ何かしら悩んでいる私とは正反対の性格…だから私は咲が、大好きだ。
「ん…?なになに、…どうしたの、あんた…なんかさ…顔色悪いよ?…熱でもあるんじゃ?大丈夫…?」
咲が、横に来て私の顔を覗き込むなり、心配そうにそう話す。
「んー…そうかも…ちょっと寝不足で、なんか頭が痛い…でもまあ、さっき薬飲んだからとりあえず様子見るよ…ありがと、咲…」
「無理すんなよ…?もうすぐ超ハッピーな結婚を控えてんだから…ほんと、羨ましいわ…!あんな素敵な人と…!」
咲が私に向かって、豪快に笑う。
咲とはひと月ほど前に隆仁さんを紹介がてら一緒に三人で食事を囲んでいた。
解散した後の咲からのラインは褒め言葉しかなかった。
イケメンで紳士、背も高いし、優しくて思いやりがあって言うことなし…最高に羨ましい…絶対離すんじゃないよ…みたいな、そんな内容だった…。
そんなこと…私だってよくわかってる…
隆仁さんは素敵だ…。
誰が見ても、文句のつけようがない。
長身で、切長の綺麗な眼…鼻梁がスッとしていて…銀縁の仕立ての良い眼鏡がとてもよく似合ってる…。
見た目だけでなく、当然ながら、誰にでも優しくて…。私のことを、すごく大事にしてくれている…。
「そ…だよね、わかってる….私なんかに…あんな…」言いかけると、
「まーた始まった…。あんたの、私なんか発言…。自分を卑下するのも大概にしなよ…?あんたがどう思っていようと、あんたを選んだのは隆仁さん自身。もっと自信持ちなよ…、あんたは十分、かわいいかわいい、あ~可愛い…ふふっ…」
咲が私の頭を撫でつつ、茶化しながら笑う。
「はい、気をつけます…ありがと、咲…」
少し、元気も出たが…一番の悩みと不眠の種…さすがに親友の咲にも、あの…話は、とてもできない…
隆仁さんの弟に…無理矢理…された…だなんて…言えるはずもない…。
「よし、今日もぼちぼち頑張ろ」そう言って、咲は自分の部署の前でヒラヒラと私に手を振る。
「うん、じゃあね、咲、また…」
とりあえず、何も考えずに仕事をこなそう…。
私はそう、無理矢理に気持ちを切り替えて、デスクに向かった。
背後から、勢いよく肩を叩かれる。
「んわ!…ああ…おは…おはよう、…咲…」
同僚の藤井咲だった。
同期で入社当時からなんとなくウマが合い配属部署は違うものの、仲良くしていた。
明るい性格で何事に対しても常にポジティブ。
いつもクヨクヨ何かしら悩んでいる私とは正反対の性格…だから私は咲が、大好きだ。
「ん…?なになに、…どうしたの、あんた…なんかさ…顔色悪いよ?…熱でもあるんじゃ?大丈夫…?」
咲が、横に来て私の顔を覗き込むなり、心配そうにそう話す。
「んー…そうかも…ちょっと寝不足で、なんか頭が痛い…でもまあ、さっき薬飲んだからとりあえず様子見るよ…ありがと、咲…」
「無理すんなよ…?もうすぐ超ハッピーな結婚を控えてんだから…ほんと、羨ましいわ…!あんな素敵な人と…!」
咲が私に向かって、豪快に笑う。
咲とはひと月ほど前に隆仁さんを紹介がてら一緒に三人で食事を囲んでいた。
解散した後の咲からのラインは褒め言葉しかなかった。
イケメンで紳士、背も高いし、優しくて思いやりがあって言うことなし…最高に羨ましい…絶対離すんじゃないよ…みたいな、そんな内容だった…。
そんなこと…私だってよくわかってる…
隆仁さんは素敵だ…。
誰が見ても、文句のつけようがない。
長身で、切長の綺麗な眼…鼻梁がスッとしていて…銀縁の仕立ての良い眼鏡がとてもよく似合ってる…。
見た目だけでなく、当然ながら、誰にでも優しくて…。私のことを、すごく大事にしてくれている…。
「そ…だよね、わかってる….私なんかに…あんな…」言いかけると、
「まーた始まった…。あんたの、私なんか発言…。自分を卑下するのも大概にしなよ…?あんたがどう思っていようと、あんたを選んだのは隆仁さん自身。もっと自信持ちなよ…、あんたは十分、かわいいかわいい、あ~可愛い…ふふっ…」
咲が私の頭を撫でつつ、茶化しながら笑う。
「はい、気をつけます…ありがと、咲…」
少し、元気も出たが…一番の悩みと不眠の種…さすがに親友の咲にも、あの…話は、とてもできない…
隆仁さんの弟に…無理矢理…された…だなんて…言えるはずもない…。
「よし、今日もぼちぼち頑張ろ」そう言って、咲は自分の部署の前でヒラヒラと私に手を振る。
「うん、じゃあね、咲、また…」
とりあえず、何も考えずに仕事をこなそう…。
私はそう、無理矢理に気持ちを切り替えて、デスクに向かった。
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