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日常
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『新名さん……』
最初の一文が目に飛び込んできて、俺は自分で、メールを開いておいて、一瞬息を飲む。
何が書かれているのか…
きっと、あの日の謝罪…謝罪に違いないとはわかっていても怖い…
だが、見ざるを得ない。俺は視線を走らせる。
『新名さん、この前はお邪魔しました。ご馳走様でした。そして本当に、すみませんでした……』
やっぱりな…
真っ先に目に飛び込んできたメールの内容は、岡田の謝罪だった。
今日は会社でまともに岡田の顔を見ることができなかった。
岡田が俺に謝ろうとしているのもなんとなく雰囲気でわかってはいたのだ。
だが、俺は岡田から逃げた…。
岡田の目を、正面から見るのが怖くて…岡田の言おうとした言葉も何度か遮った。
さすがに、態度に出ていたと思う。
明らかな拒否のオーラが、岡田には見えていたことだろう…。
俺は続きに視線を落とす。
『あの夜、俺が新名さんにしたことは最低でした。本当に最低、最悪ですよね、新名さんにあんな…無理矢理、あんなことをするなんて…自分でも信じられません。本当に、本当にすみませんでした。』
何度も続く謝罪の言葉…
それは、そうだろう…
悪いが、それほどに謝られても当然のことをされた…されたと思う…。
これまでに何度もちょっかいをかけられた真中はともかく…まさか、岡田に…
ずっと、同僚だと思っていた岡田に…しかも、男である岡田に… あんな… あんな…
百歩譲って、キスだけならまだしも…舌まで入れられて…しかも、裸にされて…あんな場所をまさぐられて…
ああ…駄目だ… また、思い出しそうになる…。
一度、その残像を振り切るようにギュッと目をつぶって、さらに文字を追う…。
俺には何となく想像できた…。
この後に続くのは、岡田の懺悔…そして、あんなことを俺にしてしまったことの後悔…。
岡田には年下の可愛い彼女がいたはずだ…
なのに、いきなり俺に…
女ならまだしも、まあまあ身長も高い… 見た目も、可愛い顔ではない、俺に…
気持ちがなびくはずがない…ましてや、身体だって… 反応、する筈もない…
だからきっとあの夜のことは…あの夜、岡田が俺にした行為の全ては、全部真中のせいだ…
あの、おかしな… ふざけた男、真中のせいで…真中の誘導のせいで…
岡田が一時的におかしくなっただけに違いない。
100%そんな気がする…
『信じてください、あの日…あの夜、俺、新名さんにあんなことをするつもりじゃなかったんです…相談って、言いましたよね… なのに、あんなこと…まじでするつもりじゃなかった…本当に…』
うんうん、わかったよ、岡田…もう、仕方がないから許してやる…
真中のせいでいい…いや、実際にそうだ…おまえは悪くない…酒飲んでおかしくなっただけだな…
俺はそんなことを思いながら、更にメールを読み進める…。
『でも……今更、なんですけど…そもそも相談っていうのが…あの…』
ん…?俺はその下の文字を追って絶句する… いやいや、そんなわけないだろ、おまえ…
そう、思った…。
『…もう、はっきり言いますね。俺は新名さんのことが好き、みたいです。あの、もちろん友人とか先輩とかじゃなく…男として…あの夜、真中に言われるまでもなく…。もうずっと前から、なんとなく自覚してました。最近、気が付けばあなたのことしか考えてなくて…新名さんに懐いてる真中が鬱陶しいなってイライラしたり…あの夜、あいつの行為見て、マジで頭が沸騰しそうでした…。すみませんが、そういうことなんで…あの、明日からまた、ご指導、お願いします』
え…?
ええ…???? う、嘘… 何、言ってんの、岡田… ご指導って、なんの…?
俺は、見てはならないものを見てしまったような気持ちで、携帯を即座にオフにした。
最初の一文が目に飛び込んできて、俺は自分で、メールを開いておいて、一瞬息を飲む。
何が書かれているのか…
きっと、あの日の謝罪…謝罪に違いないとはわかっていても怖い…
だが、見ざるを得ない。俺は視線を走らせる。
『新名さん、この前はお邪魔しました。ご馳走様でした。そして本当に、すみませんでした……』
やっぱりな…
真っ先に目に飛び込んできたメールの内容は、岡田の謝罪だった。
今日は会社でまともに岡田の顔を見ることができなかった。
岡田が俺に謝ろうとしているのもなんとなく雰囲気でわかってはいたのだ。
だが、俺は岡田から逃げた…。
岡田の目を、正面から見るのが怖くて…岡田の言おうとした言葉も何度か遮った。
さすがに、態度に出ていたと思う。
明らかな拒否のオーラが、岡田には見えていたことだろう…。
俺は続きに視線を落とす。
『あの夜、俺が新名さんにしたことは最低でした。本当に最低、最悪ですよね、新名さんにあんな…無理矢理、あんなことをするなんて…自分でも信じられません。本当に、本当にすみませんでした。』
何度も続く謝罪の言葉…
それは、そうだろう…
悪いが、それほどに謝られても当然のことをされた…されたと思う…。
これまでに何度もちょっかいをかけられた真中はともかく…まさか、岡田に…
ずっと、同僚だと思っていた岡田に…しかも、男である岡田に… あんな… あんな…
百歩譲って、キスだけならまだしも…舌まで入れられて…しかも、裸にされて…あんな場所をまさぐられて…
ああ…駄目だ… また、思い出しそうになる…。
一度、その残像を振り切るようにギュッと目をつぶって、さらに文字を追う…。
俺には何となく想像できた…。
この後に続くのは、岡田の懺悔…そして、あんなことを俺にしてしまったことの後悔…。
岡田には年下の可愛い彼女がいたはずだ…
なのに、いきなり俺に…
女ならまだしも、まあまあ身長も高い… 見た目も、可愛い顔ではない、俺に…
気持ちがなびくはずがない…ましてや、身体だって… 反応、する筈もない…
だからきっとあの夜のことは…あの夜、岡田が俺にした行為の全ては、全部真中のせいだ…
あの、おかしな… ふざけた男、真中のせいで…真中の誘導のせいで…
岡田が一時的におかしくなっただけに違いない。
100%そんな気がする…
『信じてください、あの日…あの夜、俺、新名さんにあんなことをするつもりじゃなかったんです…相談って、言いましたよね… なのに、あんなこと…まじでするつもりじゃなかった…本当に…』
うんうん、わかったよ、岡田…もう、仕方がないから許してやる…
真中のせいでいい…いや、実際にそうだ…おまえは悪くない…酒飲んでおかしくなっただけだな…
俺はそんなことを思いながら、更にメールを読み進める…。
『でも……今更、なんですけど…そもそも相談っていうのが…あの…』
ん…?俺はその下の文字を追って絶句する… いやいや、そんなわけないだろ、おまえ…
そう、思った…。
『…もう、はっきり言いますね。俺は新名さんのことが好き、みたいです。あの、もちろん友人とか先輩とかじゃなく…男として…あの夜、真中に言われるまでもなく…。もうずっと前から、なんとなく自覚してました。最近、気が付けばあなたのことしか考えてなくて…新名さんに懐いてる真中が鬱陶しいなってイライラしたり…あの夜、あいつの行為見て、マジで頭が沸騰しそうでした…。すみませんが、そういうことなんで…あの、明日からまた、ご指導、お願いします』
え…?
ええ…???? う、嘘… 何、言ってんの、岡田… ご指導って、なんの…?
俺は、見てはならないものを見てしまったような気持ちで、携帯を即座にオフにした。
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