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変な男

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その男は、俺を真っすぐに見つめたまま、確かにこう、のたまった…。

            勃たないって、本当ですか?

なんという…不躾な、質問だ…
普通、初対面に近い相手にこんな…ことって…仮に…仮にだ…
そんな内容が、自分の耳に入っていたとしても、直球で聞けるものだろうか…

俺は呆然と、奴の…真中裕之の顔を見つめる…。

「…今‥なんて…言ったのかな…?」
震える声で、一応確認をする…。

「いやだから…アレが勃たないって…本当ですかって…聞いてます…飲み屋で新名さんとあの人が…そんな話してるのが聞こえたから…マジか…?って思って…」

「… … そんな話…俺ら、した…かな…? 覚えてない… かも…」
一応、しらばっくれてみる…
だって、男の沽券こけんにかかわる… 普通に、恥ずかしい…

「え…?でも新名さんたち、結構でかい声で、ワーワー言ってましたよ…後半…。まあ、周りに人がいなかったから良かったですけど…俺には割と聞こえてました…俺、耳が人一倍いいもんで… それはまあ、置いといて…マジでそんなことで、悩んでるんですか…?」

こいつめ… そんなことでって…軽々しく言いやがった…

俺はこのことが原因で、何度…セックスに失敗し、彼女にフラれたことか…
きっと人生、順風満帆そうなこの男には、わからないのだろう…




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