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若者たち

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「…はい、わかりません… 俺、褒めただけなんで…」と、ぴろりん。
「…は…?」

「いや、だから…あちらに座って今もこちらを見ているあなたと飲んでいるあの男性…俺の、めちゃくちゃ好みっていうか、姿かたち、…もう全部、カッコいいなって…正直にそう思ったんで言っただけ…褒めただけですけど…何か?…」

「…おまっ…え、さ…ふざけてんの?…遠くから、新名さんのこと、おもむろに指差しやがって…失礼だとは思わないのか?人のこと、指さすなって親に習わなかったか…?しかもおまえら、うるさすぎ… 周りの迷惑、考えろ…会話、全部が丸聞こえだぞ…。」

「あ…指さしか…!それは確かに、良くなかったかもしれません、すみませんでした…声もデカかったですね…すみません。でも…名前、ニーナさんって言うんですね…よくお二人は、この店に来られるんですか…?」

「いや…そんな来ないけど… って言うか、…っ…何、ぬけぬけと、会話進めてんだ… とにかく、指さしとかして、ごちゃごちゃ遠くから人のこと見てんじゃない…、迷惑だ…これ以上やるなら、店側に苦情言うからな…」

「はい、…すみませんでした…でも、名前知ることが出来て良かった…!あの良かったら…一緒にどうですか…?」

は~~??? この流れで、誰がおまえなんかと一緒に飲むか… 
冗談はよせ… 俺は会話を見守りながら内心で、吠えた…。
それは岡田も同じだったようで、「…冗談言うな… 俺らは大事な話があるんだ… とにかく、静かに飲め…」そう言って、岡田が席へ戻ってくる…。

不意に、ぴろりんと、目が合う…
奴が、俺にペコリとお辞儀をする…その視線に、ドキリとする…。
俺はすぐに顔を逸らす…なんか、礼を返す気にならなかった…。

「すみません…新名さん… んで、なんでしたっけ…話、聞かせてください」
岡田が席に戻ってくるなり、何事もなかったかのように、言葉を続ける…。

何だっけ…俺の悩み… 
ああ…なんか、疲れた…
    
俺は脱力しながら、酎ハイのグラスに手を伸ばした…。



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