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距離

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「俺……」圭一が口を開いて、俺を見る。

「ああ……」

「めんどくさいです、その人…たち…」

「は… …?」

「寺崎さんとその子がどうだとか、もうほんと俺にとってはどうでもいいし、正直、名前すら聞きたくないです、寺崎さんの名前自体…俺…」

「え… … 」

そう…言われても…寺崎は友達だし…中身がヤバい奴だとはいえ、それだけの理由で…寺崎のことを切り離す…というか、見捨てることは絶対にできない。

「先輩は…先輩の今の態度っていうかスタンス…ほんと、俺からするとマジで信じられないです…」
言った後、圭一が俺の目を真っすぐに見つめてきて、ドキリとする。

「その…無理矢理に乱暴…されてるのに…しかもその後も、何度も危険な目に遭ってるし…隙あらばって感じで奴は…あ、シュウって奴の方ですけど、先輩を狙ってる状態…なのに、… …なんでそんななんですか、いつもいつも…」

圭一があからさまにため息をつく。

「…そうは、言ってもさ…寺崎は…俺の友達だし…中身とは別人格の…本当にいい奴…」

「だから!…そういうとこ!!」

「は… … ?」声からして…その話し方からして、圭一が苛立っているのがわかる。

「そういうとこですよ…先輩の隙だらけな部分…寺崎さんとシュウって男は別の人間…俺も奴に会いましたから…当然わかってます…あの男は危険だ…危険過ぎる…あの中身は今後もいつ、先輩に対して何しようとしてくるかわからない存在です…」

「… … ん… 」

それは、そうだ…俺自身、わかってる…見た目が寺崎であれ…確かに…
今後も安全だとは全く言い切れない… 
冷静に正論を口にした圭一に対して…反論の余地がない。

「ほら、何も言い返せないでしょう…?それが、答え。つまり…俺が言いたいことは一つです。」

「… … ああ… なん、だよ… …」

「寺崎さんがいい人とか…もう一つの人格がどうとかこうとか、もう面倒くさいこと一切考えなくていいから、とにかく先輩は、寺崎さんと…」

「… … … 」圭一が…何を言おうとしているのか…なんとなくわかりそうになり、俺は口をつぐむ。

「寺崎さんと、できれば完全に縁を切った方がいいと思います…ていうか、切ってください…金輪際…」

圭一が俺を見て、はっきりとそう、口にした…。

俺に…命令口調でそんなことを言う圭一を…俺は、初めて見た気がした。 

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