【BL・R18】俺とシテみたいって・・・何をですか？

物思い

昨夜、寺崎が話したように…

圭一ではなく、寺崎が…同じ男として圭一より先に俺に告白してきていたら…
俺はもしかして、もしかすると、寺崎に…寺崎の方に、流されてしまったのだろうか…

たまたま、圭一が寺崎より先に俺にアクションを起こしたことで…他人に何となく流されやすい俺の性格から…
俺は圭一になんとなく流され…気持ちを、持っていかれたのだろうか…

もし、寺崎が先…だったら…？

仮に寺崎に好きだと…俺とシテみたいと…俺を男として抱きたいと…熱っぽく抱きしめられていたら…俺は果たして…どうしていただろう…

この…身体を…
紛れもなく、男でしかない男の体を… 果たして俺は…圭一ではなく寺崎に…預けることができたのだろうか…

その時までは、寺崎の優しげな顔を想像していたのに…
不意に、シュウの残忍な顔が俺の頭の片隅によぎりそうになり、俺は頭をブンブンとふる…
 
あんな男の顔を…
寺崎ではなくシュウの…あの、氷のような表情で軽薄に笑うシュウの顔を…今、わざわざ思い出したくもない…

「あの…どうしました、先輩…？大丈夫ですか…？」
圭一が俺を心配そうに見つめていることに、はたと…気付く。
ひとり、物思いに耽ってしまっていた…
　　　　
　　　　だめだ…普通にしなきゃ…

「…ああ、大丈夫だ…食べ過ぎで苦しいなって…じゃ、そろそろ行こうか… 」

「はい、寂しいけどそろそろバイトの時間でしたよね…俺、送りますよ、とりあえず店を出ましょう。」

「そうだな…もうこんな時間か。 」

俺と圭一はゆっくりと立ち上がり、会計を済ませて店を出る。

今日、寺崎はシフトに入っていただろうか…

もし…寺崎がいたとしたら、気まずいことこの上ないし…仮に、中身がシュウだったら、昨日の今日で…本当に恐怖しかない…  　　

俺は…内心の不安な気持ちを圭一になんとか悟られないように、その後はテレビドラマやゲームのどうでもよいことをヘラヘラと話題にしながら、

　　　　　バイト先へ向かった。