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柚子の味
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その旅館の提供する料理は本当に全てが、驚くほどに美味しかった。
語彙力があまりない俺だからもっと繊細に、綺麗に表現できないのがすごく残念だけど、まじで絶品。
圭一なんて、俺よりも更にうまさを表現できる言葉を知らないものだから、とにかく、「うまい、美味しい、絶品、ほっぺた落ちそう…」そんな言葉のオンパレード…
わかる…わかるよ…圭一…本当にここの料理は見事に旨かった。最後に出た柚子の冷たいシャーベットで、口の中もスッキリ、本当に幸せな食事だった。
その後、係の人が代わる代わるに来て、食卓いっぱいに並べられた土鍋や食器類を手早く片付け、丁寧に布団を二つ敷いてくれた。
ベッドも一応ある部屋ではあるんだけど…まあ、最初に聞かれたので、どっちでも寝転がれるように布団も一応お願いしていた…んだけど。
いざ…2組並べて敷かれると、ちょっと恥ずかしい気がしたのは、俺だけだろうか…こっそり冷蔵庫を開けて中身を物色している最中の圭一を盗み見るが、奴は気にも止めず平然としている。
「では、失礼いたします。大浴場ももちろんですが、お部屋の温泉もとても良いですよ…。本日はもう、わたくしども、こちらにはお邪魔いたしませんので、ごゆっくり、お楽しみくださいませ。」
そう言ってにこやかに、上品に微笑み、ドアを閉められる。
静かな…室内…
シンとした部屋の静けさが逆に落ち着かなくて、俺はおもむろにテレビをつけようと、テレビ台にあるリモコンに手を伸ばす。
何の気なしにスイッチを入れると、その地域のタレントらによるお笑い系クイズ番組みたいなものがあっていた。静かな部屋に賑やかな音が湧き上がり、少しほっとしてしまう俺…なんか異常に、緊張してきた。
「先輩…まさかとは思いますけど、今からテレビとか見る予定…ありますか?例えばドラマとか毎週見てるから…とか言っちゃう感じ…ですか?」
圭一が冷蔵庫から、事前に買ってきていたコーラを取り出しながら抑揚のない声で俺に問う。
「あ、…っていうか、先輩も何か飲みますか?さっき買ってきた酎ハイとか…出しましょうか?どれにします?」
「いや…俺は今は、いいや。また風呂上がりにでも飲むよ。」
「そうですか…」圭一が缶を開け、コーラをゴクゴクと飲む。
なんとなくそれから、俺はさっきの圭一の問いに返事をするわけでもなく、リモコンでチャンネルをコロコロ変えていたのだけど…その手が突然、圭一の大きな手に、優しく包まれる。ドキリと俺の心臓が跳ねる。
「先輩…もう、テレビはいいでしょう?そろそろ…」圭一の真剣な目が、俺を射抜く。
「あ…じゃ…さ、ご飯食べておなかいっぱいだし、少し休憩して部屋の風呂に入って…っつっ!」
圭一が俺の両肩を少し強めにつかんで、引き寄せる。
「…往生際が悪過ぎですよ、先輩…もう…引き延ばすのはやめてください…逃げるのはこれ以降、禁止します…ね、先輩?…」
「でも…俺また…食事して汗かいたかもっ…もっかいだけ、お風呂…っん、んっ…!」
俺の抵抗の声は、圭一の唇によって塞がれ、掻き消された。
「んっ…ふっ…んっ… ん」
激しくも優しいキス…圭一の唇の柔らかさを感じる…あと、飲んだばかりのコーラの味…
そんな中、一旦圭一は唇を離し俺に優しく笑いながら語りかける。
「先輩の唇、美味しい。柚子シャーベットの味がします…食事もテレビも温泉も…俺はもう、いいです。
俺が、ずっと欲しいのは…欲しかったのは…先輩だけ…」
そう言いながら圭一は、座椅子に座っていた俺を軽々と抱き上げ、今度こそ本物のお姫様抱っこをしたまま数歩床の上を歩き、俺をそうっとベッドの上におろす。
「…好きです、先輩…」
いつものように優しく俺に語りかけつつも、男の本能を抑え切れないような野性的な目で俺の顔をじっと見つめながら、圭一が顔をゆっくり近づけてくる…。
俺はたまらずに、目を閉じた…
語彙力があまりない俺だからもっと繊細に、綺麗に表現できないのがすごく残念だけど、まじで絶品。
圭一なんて、俺よりも更にうまさを表現できる言葉を知らないものだから、とにかく、「うまい、美味しい、絶品、ほっぺた落ちそう…」そんな言葉のオンパレード…
わかる…わかるよ…圭一…本当にここの料理は見事に旨かった。最後に出た柚子の冷たいシャーベットで、口の中もスッキリ、本当に幸せな食事だった。
その後、係の人が代わる代わるに来て、食卓いっぱいに並べられた土鍋や食器類を手早く片付け、丁寧に布団を二つ敷いてくれた。
ベッドも一応ある部屋ではあるんだけど…まあ、最初に聞かれたので、どっちでも寝転がれるように布団も一応お願いしていた…んだけど。
いざ…2組並べて敷かれると、ちょっと恥ずかしい気がしたのは、俺だけだろうか…こっそり冷蔵庫を開けて中身を物色している最中の圭一を盗み見るが、奴は気にも止めず平然としている。
「では、失礼いたします。大浴場ももちろんですが、お部屋の温泉もとても良いですよ…。本日はもう、わたくしども、こちらにはお邪魔いたしませんので、ごゆっくり、お楽しみくださいませ。」
そう言ってにこやかに、上品に微笑み、ドアを閉められる。
静かな…室内…
シンとした部屋の静けさが逆に落ち着かなくて、俺はおもむろにテレビをつけようと、テレビ台にあるリモコンに手を伸ばす。
何の気なしにスイッチを入れると、その地域のタレントらによるお笑い系クイズ番組みたいなものがあっていた。静かな部屋に賑やかな音が湧き上がり、少しほっとしてしまう俺…なんか異常に、緊張してきた。
「先輩…まさかとは思いますけど、今からテレビとか見る予定…ありますか?例えばドラマとか毎週見てるから…とか言っちゃう感じ…ですか?」
圭一が冷蔵庫から、事前に買ってきていたコーラを取り出しながら抑揚のない声で俺に問う。
「あ、…っていうか、先輩も何か飲みますか?さっき買ってきた酎ハイとか…出しましょうか?どれにします?」
「いや…俺は今は、いいや。また風呂上がりにでも飲むよ。」
「そうですか…」圭一が缶を開け、コーラをゴクゴクと飲む。
なんとなくそれから、俺はさっきの圭一の問いに返事をするわけでもなく、リモコンでチャンネルをコロコロ変えていたのだけど…その手が突然、圭一の大きな手に、優しく包まれる。ドキリと俺の心臓が跳ねる。
「先輩…もう、テレビはいいでしょう?そろそろ…」圭一の真剣な目が、俺を射抜く。
「あ…じゃ…さ、ご飯食べておなかいっぱいだし、少し休憩して部屋の風呂に入って…っつっ!」
圭一が俺の両肩を少し強めにつかんで、引き寄せる。
「…往生際が悪過ぎですよ、先輩…もう…引き延ばすのはやめてください…逃げるのはこれ以降、禁止します…ね、先輩?…」
「でも…俺また…食事して汗かいたかもっ…もっかいだけ、お風呂…っん、んっ…!」
俺の抵抗の声は、圭一の唇によって塞がれ、掻き消された。
「んっ…ふっ…んっ… ん」
激しくも優しいキス…圭一の唇の柔らかさを感じる…あと、飲んだばかりのコーラの味…
そんな中、一旦圭一は唇を離し俺に優しく笑いながら語りかける。
「先輩の唇、美味しい。柚子シャーベットの味がします…食事もテレビも温泉も…俺はもう、いいです。
俺が、ずっと欲しいのは…欲しかったのは…先輩だけ…」
そう言いながら圭一は、座椅子に座っていた俺を軽々と抱き上げ、今度こそ本物のお姫様抱っこをしたまま数歩床の上を歩き、俺をそうっとベッドの上におろす。
「…好きです、先輩…」
いつものように優しく俺に語りかけつつも、男の本能を抑え切れないような野性的な目で俺の顔をじっと見つめながら、圭一が顔をゆっくり近づけてくる…。
俺はたまらずに、目を閉じた…
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