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土曜

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待ちに待った土曜日

明るい日差しの中、家を出て、圭一との待ち合わせ場所に向かう。

結局今日までなんだかんだで忙しくて、あまり観光地について予習できなかった俺…
圭一は受験生だし、しっかり下調べしときたかったのに…全然ダメだな俺…
そう思いながら、ショボショボ歩いていると

あ…いた… 

待ち合わせの駅近くの時計台の下で、大きな荷物を背負い、圭一が立っていた。

周りにいる女子達が、チラチラ圭一を見ながら目配せしているのがわかる。
やっぱ…ムダに目立つんだよな…こいつ…
俺もつい…見惚れてしまう…

圭一のことを好きと自覚するまでは、こいつの見た目が割といいのはもちろん、わかってはいたが、そんなに感心する程じゃなかった。

へー…男らしい顔だな、イケメンだな…羨ましいな…位にしか…

だけど今は違う…

マジで圭一は、カッコいい…と、思う。

そこらの、きゃあきゃあ言われている芸能人グループのメンバーだかなんだか知らないが、間違いなく彼らと同等…いやむしろ、きっと彼らを凌駕しているとさえ思うほどに、こいつは多分、魅力的だ…

俺は…周りの女性陣の目線に気づきながらも、その目線をこそこそとかいくぐって、圭一に声をかける。

「圭一…おまえ、早過ぎ…待たせたな…!」

実はまだ、待ち合わせ時間まで30分以上も余裕があった。

「おはようございますっ!
先輩…俺、今日が楽しみ過ぎて異常に早起きしてしまって…家にいても仕方がないので、早目に来ちゃいました!」

大きな犬コロが、尻尾ふりふり、ワフワフしながら、可愛いらしい笑顔で俺に笑いかける。

…たまらない…今すぐ抱き締めたい気持ちになるけど、こいつ、俺が今そんなことしたら、本当に驚くだろうな…我慢我慢…しかもここは、完全に外だし。

そして俺も状況は圭一と同じだった…

俺も今朝は異常に早く目覚め、ついでに昨夜あんまり寝付きが良くなくて、ちょい寝不足気味なくらいで。
このままだと、行きの電車で寝ちゃいそうだ…

「俺も同じだ…早起き過ぎてまだ少し眠いし…まあ、ちょっと早いけど、行こうか?」

「はい!…あ~…
現実だ…先輩と旅行だなんて…ホント、嬉しすぎます…今日はよろしくお願いします。」

変なとこでこいつは律儀で、大きな身体でペコリと頭を下げる。

俺の返事、笑いながら…だけど

「こちらこそ…よろしくです。
       じゃ…ボチボチ行こうぜ」
 

俺たちはやっと二人揃って、
          歩き始めた。

                










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