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渦巻く
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あの日…おまえは…
まず、おまえは俺に、無理矢理に、キスを…
その後、自由を奪った後…
俺を全裸にして、両腕を縛って…
その後…その後… 無理矢理…
… あ … …
やっぱ…まだ、話すのは駄目かもしんない…
俺の方がむしろ、まだ…寺崎に話す覚悟というか…スムーズに話せ…ないかも…しれない…
まだ、俺自身が、あの出来事を…サラリと話題にできるような精神的状況に…ない、みたいだ…
この前圭一といた時みたいに、突如、座っていながら、クラクラするような目眩に襲われる。
「おい…僚介… おまえ…、大丈夫か…?なんか今、顔色めちゃくちゃ、悪いぞ… 水飲め、水っ…」
寺崎がすぐに、水の入ったコップを差し出してくれる。
あー …やっぱ、こいつ…、優しくて…普通にいい奴なんだよな… なんだって、コイツと俺が、いま…こんな… ギクシャクしたような…関係に…ならなきゃ、いけないんだよ…
なんだって、こんな下手したら圭一と張るくらい、めちゃくちゃカッコいい、普通にいいやつの…内部に…
あんな…あんな、極悪非道男が…
巣食っちゃってるんだろう…
ソイツさえいなければ…俺と寺崎は今でも、普通によい友人同士で…いられたはずなのに…。
シュウ… アイツさえ、いなければ…。
俺は、寺崎が渡してくれた冷たい水をゆっくり口に含み、ゆっくりと深呼吸をする。
今日はやっぱり…核心部分については、残念だけどとても話せない。だが、寺崎はやはりとても気にしている。
…だから俺はせめてと、とりあえずの説明をする。
「おまえな…ちょっとだけ、その、記憶喪失というか、なんというか、断片的に別人みたいに、なっちゃってる…みたいな…?だからといって、おまえはおまえだし、別に…問題はないんだけど…さ…」
嘘だ…問題…大アリだ…
俺の心の声はそう、突っ込みながらも…
なぜだか、寺崎を不安にさせたくなくて、いらぬフォローを入れてしまう…
「べ…別、別人…みた…い…って…?」
ほらな、
やっぱり…
寺崎がびっくりした顔で俺に聞き返してくる…。
「あ、いや…まあ、ちょっとしたキャラ変?みたいな…ま、あくまで断片だ、断片的にボヤッと、違う人格が現れる…みたいな…」
…自分で言いながら…
断片的にボヤッと…?
… 完全に… 意味不明だ。
自分の語彙力のなさに、肩を落とす俺…
ほら…不可解な表情をした不安そうな寺崎が
こちらを、ジッと見つめている。
核心や細部に触れずに、しかもあまりショックを与えずに…どうやって寺崎に、伝えられるのか…
俺は、渦巻く珈琲を見つめながら必死に考える。
まず、おまえは俺に、無理矢理に、キスを…
その後、自由を奪った後…
俺を全裸にして、両腕を縛って…
その後…その後… 無理矢理…
… あ … …
やっぱ…まだ、話すのは駄目かもしんない…
俺の方がむしろ、まだ…寺崎に話す覚悟というか…スムーズに話せ…ないかも…しれない…
まだ、俺自身が、あの出来事を…サラリと話題にできるような精神的状況に…ない、みたいだ…
この前圭一といた時みたいに、突如、座っていながら、クラクラするような目眩に襲われる。
「おい…僚介… おまえ…、大丈夫か…?なんか今、顔色めちゃくちゃ、悪いぞ… 水飲め、水っ…」
寺崎がすぐに、水の入ったコップを差し出してくれる。
あー …やっぱ、こいつ…、優しくて…普通にいい奴なんだよな… なんだって、コイツと俺が、いま…こんな… ギクシャクしたような…関係に…ならなきゃ、いけないんだよ…
なんだって、こんな下手したら圭一と張るくらい、めちゃくちゃカッコいい、普通にいいやつの…内部に…
あんな…あんな、極悪非道男が…
巣食っちゃってるんだろう…
ソイツさえいなければ…俺と寺崎は今でも、普通によい友人同士で…いられたはずなのに…。
シュウ… アイツさえ、いなければ…。
俺は、寺崎が渡してくれた冷たい水をゆっくり口に含み、ゆっくりと深呼吸をする。
今日はやっぱり…核心部分については、残念だけどとても話せない。だが、寺崎はやはりとても気にしている。
…だから俺はせめてと、とりあえずの説明をする。
「おまえな…ちょっとだけ、その、記憶喪失というか、なんというか、断片的に別人みたいに、なっちゃってる…みたいな…?だからといって、おまえはおまえだし、別に…問題はないんだけど…さ…」
嘘だ…問題…大アリだ…
俺の心の声はそう、突っ込みながらも…
なぜだか、寺崎を不安にさせたくなくて、いらぬフォローを入れてしまう…
「べ…別、別人…みた…い…って…?」
ほらな、
やっぱり…
寺崎がびっくりした顔で俺に聞き返してくる…。
「あ、いや…まあ、ちょっとしたキャラ変?みたいな…ま、あくまで断片だ、断片的にボヤッと、違う人格が現れる…みたいな…」
…自分で言いながら…
断片的にボヤッと…?
… 完全に… 意味不明だ。
自分の語彙力のなさに、肩を落とす俺…
ほら…不可解な表情をした不安そうな寺崎が
こちらを、ジッと見つめている。
核心や細部に触れずに、しかもあまりショックを与えずに…どうやって寺崎に、伝えられるのか…
俺は、渦巻く珈琲を見つめながら必死に考える。
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