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美弥の相談
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俺と美弥は、大学から歩いて10分くらいの南国風のお洒落なカフェに入った。
店内は、カップルや女子達で溢れかえっていたけど、カウンター席が運よく空いていたので、そこに座ることにする。
メニューを見ると、マンゴーなんとかパンケーキとか、リコッタチーズのなんちゃらパンケーキとか…普段聞きなれないような、いかにも女子が好きそうなパンケーキが、写真とともに、詳細に説明されていた…
ヤバい…メチャクチャ…旨そうだ…
男なのにちょっと恥ずかしいが、俺は甘いものに目がない…
特にチョコレートが好きでポテチを平らげた後にチョコにうつる、甘辛ミックス食べが超おススメだ…あ、誰も聞いていない…? 失礼…
美弥がメニューをジッと見つめている。
…横から見ても本当に睫毛が長い…閉じるとバサッと音がしそうなほどだ…。
自慢ではないけど、俺も男にしてはあまりに長いと、まるで少女のようだと…子供の頃から言われてきたのだが…美弥はやっぱり純正の女子…俺が勝てる筈もない。まあ、睫毛に勝ち負けもなにも、ないけど。
「佐々木先輩…なんにされます?私、イチゴと桃のパンケーキとアイスコーヒーにしようかな…と…」まだ、若干悩んでいるような表情で、美弥が言う。
俺は…本当は…(スペシャルマンゴーなんちゃらパンケーキにします!)と注文したかったが、さすがに…やっぱり、気が引けた…俺にはとても無理だ…今度、圭一と来た時に、好きなのを思いっきり食べようと決意しながら、「あ、俺は珈琲で」と、クールに答える。
若いイケメン風の店員に、注文を伝え…美弥と二人になりしばしの沈黙…途端に緊張が走る…。
ううう…なんか、雑談を振るべきか…俺が悩んでいると、先に美弥が口を開いた。
「今日は突然すみません…実は相談…っていうか、僚…佐々木先輩に、まず一つお尋ねしたくて。」
…また、僚介…って言おうとしたな…この子、普段寺崎と話してるときとか、ひょっとして俺のこと名前で呼んでたり…するんだろうか…ま、やっぱ、いろんな意味で、僚介と呼ぶのは勘弁してくれと、思う。
「実は…最近、秋夜さんが…すごく、元気がなくって…なんとなくぼんやりしてるし、ご飯とか一緒に食べてても、デートしててもなんとなく上の空で… で、この前ちょっと本人に聞いてみたら…」
なんだろう…寺崎の話だから、俺も正直聞くのが怖い…どういう内容だろうか…ゴクリとのどを鳴らす。
「…佐々木先輩…もしかして…なんですけど、もしかして…」美弥が何度も、もしかして…と口にする。ものすごく怖い…なにかに、感づいているのか…なんなんだ…早く言え…
「もしかして、佐々木先輩と秋夜さん、 …喧嘩…か何か、されました…?」
そこか…そう来るか…
やっぱそうだよな…
寺崎の彼女である美弥が、自分の彼氏の異変を感じ取り、それを友人関係である俺とのいざこざと結びつけるのは、至極当然のことと思う。
俺がどうこたえようか迷っていると美弥が続ける。
「…というのは、あまりに元気がなかったので、私から彼に思い切って聞いてみたら…どうやら…佐々木先輩…が、ある時を境に…素っ気なくというか…怒っている…みたいになっていて…って、彼、悩んでいまして…しかもその原因が…秋夜さん的には、よくわからない…みたいで…」
…俺は無言になる…
寺崎の立場になったら、そうかもしれないと、思う。
あの夜のあと、寺崎に初めて講義室で会った時、俺は奴に、明らかに冷たい態度をとってしまった。
でも、あんなことがあったんだ…俺の態度は、ある意味、無理もない…はずだ…
でも、あの夜のことを覚えていない、全く事態を飲み込めていない寺崎にとって、確かに俺の怒ったような態度は、不可解…というか、理由がわからず、悩んでいるのだろう…でも…だからといって…俺は…
俺が一人の世界に入りかけていると、美弥が口を挟む。
「あ…でも…いいです、その理由は…言いにくかったら…ただ、秋夜さんが…最近食欲もなくて、少し心配になっただけで…」
俺は…なんとか、うなづく…理由は…理由なんて…美弥に、言えるはずもない…
しかも、寺崎が二重人格であることに…美弥が気付いているかもわからない…。だから俺は無言でいるよりほか、なかった。
美弥がその俺の反応に、答えは期待できないとあきらめたのか、俺に、次なるパンチを…いやいや、相談?を繰り出す。それは…俺が予想しない、内容だった。
え…!? 今…この美少女は…俺に…なんて言った…!?うら若き乙女が、今、俺に何の相談を…
俺は一瞬、耳を疑った…
店内は、カップルや女子達で溢れかえっていたけど、カウンター席が運よく空いていたので、そこに座ることにする。
メニューを見ると、マンゴーなんとかパンケーキとか、リコッタチーズのなんちゃらパンケーキとか…普段聞きなれないような、いかにも女子が好きそうなパンケーキが、写真とともに、詳細に説明されていた…
ヤバい…メチャクチャ…旨そうだ…
男なのにちょっと恥ずかしいが、俺は甘いものに目がない…
特にチョコレートが好きでポテチを平らげた後にチョコにうつる、甘辛ミックス食べが超おススメだ…あ、誰も聞いていない…? 失礼…
美弥がメニューをジッと見つめている。
…横から見ても本当に睫毛が長い…閉じるとバサッと音がしそうなほどだ…。
自慢ではないけど、俺も男にしてはあまりに長いと、まるで少女のようだと…子供の頃から言われてきたのだが…美弥はやっぱり純正の女子…俺が勝てる筈もない。まあ、睫毛に勝ち負けもなにも、ないけど。
「佐々木先輩…なんにされます?私、イチゴと桃のパンケーキとアイスコーヒーにしようかな…と…」まだ、若干悩んでいるような表情で、美弥が言う。
俺は…本当は…(スペシャルマンゴーなんちゃらパンケーキにします!)と注文したかったが、さすがに…やっぱり、気が引けた…俺にはとても無理だ…今度、圭一と来た時に、好きなのを思いっきり食べようと決意しながら、「あ、俺は珈琲で」と、クールに答える。
若いイケメン風の店員に、注文を伝え…美弥と二人になりしばしの沈黙…途端に緊張が走る…。
ううう…なんか、雑談を振るべきか…俺が悩んでいると、先に美弥が口を開いた。
「今日は突然すみません…実は相談…っていうか、僚…佐々木先輩に、まず一つお尋ねしたくて。」
…また、僚介…って言おうとしたな…この子、普段寺崎と話してるときとか、ひょっとして俺のこと名前で呼んでたり…するんだろうか…ま、やっぱ、いろんな意味で、僚介と呼ぶのは勘弁してくれと、思う。
「実は…最近、秋夜さんが…すごく、元気がなくって…なんとなくぼんやりしてるし、ご飯とか一緒に食べてても、デートしててもなんとなく上の空で… で、この前ちょっと本人に聞いてみたら…」
なんだろう…寺崎の話だから、俺も正直聞くのが怖い…どういう内容だろうか…ゴクリとのどを鳴らす。
「…佐々木先輩…もしかして…なんですけど、もしかして…」美弥が何度も、もしかして…と口にする。ものすごく怖い…なにかに、感づいているのか…なんなんだ…早く言え…
「もしかして、佐々木先輩と秋夜さん、 …喧嘩…か何か、されました…?」
そこか…そう来るか…
やっぱそうだよな…
寺崎の彼女である美弥が、自分の彼氏の異変を感じ取り、それを友人関係である俺とのいざこざと結びつけるのは、至極当然のことと思う。
俺がどうこたえようか迷っていると美弥が続ける。
「…というのは、あまりに元気がなかったので、私から彼に思い切って聞いてみたら…どうやら…佐々木先輩…が、ある時を境に…素っ気なくというか…怒っている…みたいになっていて…って、彼、悩んでいまして…しかもその原因が…秋夜さん的には、よくわからない…みたいで…」
…俺は無言になる…
寺崎の立場になったら、そうかもしれないと、思う。
あの夜のあと、寺崎に初めて講義室で会った時、俺は奴に、明らかに冷たい態度をとってしまった。
でも、あんなことがあったんだ…俺の態度は、ある意味、無理もない…はずだ…
でも、あの夜のことを覚えていない、全く事態を飲み込めていない寺崎にとって、確かに俺の怒ったような態度は、不可解…というか、理由がわからず、悩んでいるのだろう…でも…だからといって…俺は…
俺が一人の世界に入りかけていると、美弥が口を挟む。
「あ…でも…いいです、その理由は…言いにくかったら…ただ、秋夜さんが…最近食欲もなくて、少し心配になっただけで…」
俺は…なんとか、うなづく…理由は…理由なんて…美弥に、言えるはずもない…
しかも、寺崎が二重人格であることに…美弥が気付いているかもわからない…。だから俺は無言でいるよりほか、なかった。
美弥がその俺の反応に、答えは期待できないとあきらめたのか、俺に、次なるパンチを…いやいや、相談?を繰り出す。それは…俺が予想しない、内容だった。
え…!? 今…この美少女は…俺に…なんて言った…!?うら若き乙女が、今、俺に何の相談を…
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