【BL・R18】俺とシテみたいって・・・何をですか?

もえこ

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心の声

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仕事が終わって、俺はすぐさま身支度を整え公園へ向かう。バイト後のたった三十分足らずの圭一とのデート。今の俺にとっては最大限、優先すべき大事な時間だ。

夏も終わりに近づき、午後8時を過ぎるともうかなり外は暗い。
ただ、闇夜は人影を隠してくれる。
だから俺たちにとっては好都合で、俺は暗闇の中をかいくぐり、いつものベンチに向かった。

 …いた…

圭一は、ベンチに座り、イヤホンでなにやら音楽を聴いていた。 
俺の気配に気付き、慌ててイヤホンをとる。「先輩、お疲れ様でした。今日、めちゃくちゃ忙しかったですねっ、なんだかドッと疲れました…」

「ああ…ほんとだな…」

内心、別のことで数日間頭を悩ませていた俺は、逆にバイトで救われた気もする。仕事をしている間だけは忙しさにかまけて、嫌なことや色々なことを忘れることができたから。

俺は圭一の隣に座り、バッグを間に置く。
「なんか、飲むか…?」俺が聞くと「あ、さっき飲んだんで大丈夫です」圭一が答える。

「…っ、ていうか、先輩…この荷物、なんでココに?はっきり言って、邪魔です…」

圭一が、笑いながら、俺が置いたそれを自分の端にどかし、俺の横にピタリと…くっついてくる。

大の男、正確には大小の男、二人が、ベンチでピッタリとくっついている図…
かなり異様な光景かもしれない。

ただ、ここはトイレに行くとかでない限りは、かなり人目には触れにくい場所。実際に俺が座ってからは一度も人が通ってはいない。だから俺は自分の気持ちのままに…抵抗せず、そのままにしていた。

仮に見られたとしても、人に見られることよりも、圭一と触れ合いたい気持ちが勝ってしまっている俺…これって、ヤバい兆候、なんだろうか…

マジで、最近の俺はおかしい…というか、シュウにいいように身体を弄ばれて、どこかが…おかしくなってしまったのかもしれない。

無言で圭一が俺の手の甲に、その大きな骨張った手を重ねてきた

瞬間、ドキリと…心臓が跳ねる。

圭一の長い指が、俺の指に絡められる…
まるで、俺の指の形を確かめるようにゆっくりと…なぞられる。

…「け…圭一…」俺はたまらず、声を発した。

「はい…?」圭一が、手を握りながら、不思議そうな顔をしてこちらを向く。

「キ…キス… した…い…」
俺は、つい…蚊の鳴くような声で…

圭一が驚いた顔をして、こちらを見る。

声…出しちゃったのか?
まさか、心の声が…     漏れ…出た…?

しまった!
は… !?… 
俺は一体、何を言っちゃってるんだ!?

健全な高校生男子に…学業第一の高校生男子に…

内心で自分を思いっ切り罵っている間に、圭一に強引に、顎をつかまれる。
「つっ…」

 顔が…怖いよ…
   …圭一の顔は既に、男の顔…だった。

「…… 先輩… わざと、やってます?…反則技、いきなり、使わないでください…知りませんよ、俺…」

瞬く間に、

  俺の唇は圭一に強引に塞がれていた…

               
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