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心の声
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仕事が終わって、俺はすぐさま身支度を整え公園へ向かう。バイト後のたった三十分足らずの圭一とのデート。今の俺にとっては最大限、優先すべき大事な時間だ。
夏も終わりに近づき、午後8時を過ぎるともうかなり外は暗い。
ただ、闇夜は人影を隠してくれる。
だから俺たちにとっては好都合で、俺は暗闇の中をかいくぐり、いつものベンチに向かった。
…いた…
圭一は、ベンチに座り、イヤホンでなにやら音楽を聴いていた。
俺の気配に気付き、慌ててイヤホンをとる。「先輩、お疲れ様でした。今日、めちゃくちゃ忙しかったですねっ、なんだかドッと疲れました…」
「ああ…ほんとだな…」
内心、別のことで数日間頭を悩ませていた俺は、逆にバイトで救われた気もする。仕事をしている間だけは忙しさにかまけて、嫌なことや色々なことを忘れることができたから。
俺は圭一の隣に座り、バッグを間に置く。
「なんか、飲むか…?」俺が聞くと「あ、さっき飲んだんで大丈夫です」圭一が答える。
「…っ、ていうか、先輩…この荷物、なんでココに?はっきり言って、邪魔です…」
圭一が、笑いながら、俺が置いたそれを自分の端にどかし、俺の横にピタリと…くっついてくる。
大の男、正確には大小の男、二人が、ベンチでピッタリとくっついている図…
かなり異様な光景かもしれない。
ただ、ここはトイレに行くとかでない限りは、かなり人目には触れにくい場所。実際に俺が座ってからは一度も人が通ってはいない。だから俺は自分の気持ちのままに…抵抗せず、そのままにしていた。
仮に見られたとしても、人に見られることよりも、圭一と触れ合いたい気持ちが勝ってしまっている俺…これって、ヤバい兆候、なんだろうか…
マジで、最近の俺はおかしい…というか、シュウにいいように身体を弄ばれて、どこかが…おかしくなってしまったのかもしれない。
無言で圭一が俺の手の甲に、その大きな骨張った手を重ねてきた
瞬間、ドキリと…心臓が跳ねる。
圭一の長い指が、俺の指に絡められる…
まるで、俺の指の形を確かめるようにゆっくりと…なぞられる。
…「け…圭一…」俺はたまらず、声を発した。
「はい…?」圭一が、手を握りながら、不思議そうな顔をしてこちらを向く。
「キ…キス… した…い…」
俺は、つい…蚊の鳴くような声で…
圭一が驚いた顔をして、こちらを見る。
声…出しちゃったのか?
まさか、心の声が… 漏れ…出た…?
しまった!
は… !?…
俺は一体、何を言っちゃってるんだ!?
健全な高校生男子に…学業第一の高校生男子に…
内心で自分を思いっ切り罵っている間に、圭一に強引に、顎をつかまれる。
「つっ…」
顔が…怖いよ…
…圭一の顔は既に、男の顔…だった。
「…… 先輩… わざと、やってます?…反則技、いきなり、使わないでください…知りませんよ、俺…」
瞬く間に、
俺の唇は圭一に強引に塞がれていた…
夏も終わりに近づき、午後8時を過ぎるともうかなり外は暗い。
ただ、闇夜は人影を隠してくれる。
だから俺たちにとっては好都合で、俺は暗闇の中をかいくぐり、いつものベンチに向かった。
…いた…
圭一は、ベンチに座り、イヤホンでなにやら音楽を聴いていた。
俺の気配に気付き、慌ててイヤホンをとる。「先輩、お疲れ様でした。今日、めちゃくちゃ忙しかったですねっ、なんだかドッと疲れました…」
「ああ…ほんとだな…」
内心、別のことで数日間頭を悩ませていた俺は、逆にバイトで救われた気もする。仕事をしている間だけは忙しさにかまけて、嫌なことや色々なことを忘れることができたから。
俺は圭一の隣に座り、バッグを間に置く。
「なんか、飲むか…?」俺が聞くと「あ、さっき飲んだんで大丈夫です」圭一が答える。
「…っ、ていうか、先輩…この荷物、なんでココに?はっきり言って、邪魔です…」
圭一が、笑いながら、俺が置いたそれを自分の端にどかし、俺の横にピタリと…くっついてくる。
大の男、正確には大小の男、二人が、ベンチでピッタリとくっついている図…
かなり異様な光景かもしれない。
ただ、ここはトイレに行くとかでない限りは、かなり人目には触れにくい場所。実際に俺が座ってからは一度も人が通ってはいない。だから俺は自分の気持ちのままに…抵抗せず、そのままにしていた。
仮に見られたとしても、人に見られることよりも、圭一と触れ合いたい気持ちが勝ってしまっている俺…これって、ヤバい兆候、なんだろうか…
マジで、最近の俺はおかしい…というか、シュウにいいように身体を弄ばれて、どこかが…おかしくなってしまったのかもしれない。
無言で圭一が俺の手の甲に、その大きな骨張った手を重ねてきた
瞬間、ドキリと…心臓が跳ねる。
圭一の長い指が、俺の指に絡められる…
まるで、俺の指の形を確かめるようにゆっくりと…なぞられる。
…「け…圭一…」俺はたまらず、声を発した。
「はい…?」圭一が、手を握りながら、不思議そうな顔をしてこちらを向く。
「キ…キス… した…い…」
俺は、つい…蚊の鳴くような声で…
圭一が驚いた顔をして、こちらを見る。
声…出しちゃったのか?
まさか、心の声が… 漏れ…出た…?
しまった!
は… !?…
俺は一体、何を言っちゃってるんだ!?
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「つっ…」
顔が…怖いよ…
…圭一の顔は既に、男の顔…だった。
「…… 先輩… わざと、やってます?…反則技、いきなり、使わないでください…知りませんよ、俺…」
瞬く間に、
俺の唇は圭一に強引に塞がれていた…
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