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説得

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寺崎の濃厚なキスが、俺をおそう。

ちゅっ…くちゅ…

角度を変えながら、
舌が遠慮なしに口内に差し込まれる。
 
「んっ…あ、やめっ、ん……んーっ…ん」

俺の声がかき消されるように、強引に唇を塞がれる。

あああ…嫌だ…  頭がどうにかなりそうだ。

圭一の…圭一の、言う通りだった…

圭一の助言から随分月日が経ち、寺崎にはすでにれっきとした彼女、田口美弥がいる。
…にも関わらず…まさか。

だからやっぱり、完全に、俺は油断してしまっていた…俺は、なんて馬鹿なんだ…

抵抗しようにも、寺崎は俺に半分のしかかるような形で、俺を拘束している。
 
もはや…逃げ場はない、力の差は、歴然だった。

ぬるぬると口の中を蠢く舌が、時々唇をも舐めあげ、さらに再び、塞ぐ。

「んっ…んー… 」

酔いのせいと、長いキスで、おそらく俺は軽い酸欠状態になり、どんどん抵抗する力が失われていく。
一瞬、唇が離れたスキに、俺は必死に声をあげる。

身体ではもう無理だ…きっと、抵抗できない。
 
言葉で奴を、なんとか押しとどめるしかなかった。

「て、寺崎…っ!お願いだ…もう、やめてくれ…お、おまえ…田口がいるじゃないか…何、血迷ってるんだよ…いきなりこんな…こんなことして…なんなんだよ…酷いよ…」

情けなくて、涙が出そうになりながらも

  必死に寺崎の良心に、俺は訴えかける…

           
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